魔虚羅が斬撃を飛ばした。まるで宿儺のように…
その威力は五条の腕だけに止まらず、背後にそびえていた高層ビルをも切断してしまうほど。
少し前から影の中に身を潜めていた宿儺が、タイミングを逃さず外へ出て片腕の五条へ一撃をくらわせる。
飛ばされた先で待っていた顎吐が攻撃を加えるも、五条は何もなかったかように相手を見上げた。
「さっきからオマエだけ釣り合ってねーんだよ」
不敵な笑みと共にそう言った五条は、残っている左腕で強烈な打撃を腹に打ち込んだ。
そしてそのまま最大出力の"蒼"を発射した。
巻き込まれた顎吐が圧殺されるのを見届けたスズは、カグツチにあるお願いをする。
"可能な限り先生に近づいて欲しい"…と。
『それは別にいいけど、何するつもりだ?』
「先生の腕を治す。少し待てば自分でできるだろうけど、早いに越したことはないから。…これも邪魔のうちに入るかな?」
『ふっ、平気だろ!スズ自身が割り込むわけじゃねぇし、そもそも悟はスズがやることを邪魔だと思ったりしねぇよ。
アイツも俺に負けず劣らず、スズのこと大好きだからな。やってやったら絶対喜ぶ!』
「そう、だといいな…!」
『でもよ、遠隔で反転術式とかやったことあったか?』
「…ない。しかも腕を一瞬で生成するとなると、結構な呪力を使うと思うんだよね」
『でもやるってか!いいね〜スズのそういう男前なとこ好きだぜ?フラフラになっても俺が傍にいるから、安心してぶっ放せ!』
「うん、ありがと!」
『じゃあ行くぞ!準備しとけよ!』
「押忍!」
グンッと一気に五条達と同じ位置まで上がったカグツチの背中で、スズは自分の中にある全ての呪力を両手に込める。
五条由来の負の呪力も、宿儺からもらい受けた大量の呪力も、全てを正の方へと変換した。
可能な限り近づいたタイミングで発したカグツチの合図で、スズは温かいエネルギーで満ちた呪力を五条に向けて放った。
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目にも止まらぬ速さで飛んだ呪力は、五条の右腕周辺を包み込む。
彼がそれに気づきパッと目をやった時には、元通りになった腕がそこに存在していた。
「(腕が戻ってる…!)」
『悟!勝たなきゃ許さねぇぞ!!』
声のする方へ顔を向ければ、スズを横抱きにしたカグツチが明るい笑顔を見せていた。
呪力の大量消費で一時的に気を失っている想い人へ優しい眼差しを向けてから、五条は力強く首を縦に振った。
「(俺が惚れた子、本当いい女過ぎない?…ありがとう、スズ。もう少しだけ待っててね)」
スズにするように、治った右手にキスを落とした五条は、改めて宿儺と魔虚羅に向き合った。
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