今モニターには、呪いの王と現代最強呪術師が1人の少女を挟んで子供のような言い合いをしている光景が映し出されている。

特級呪物・両面宿儺がいち呪術師の式神というポジションに収まった。

そんな誰も思い描いていなかった展開に、戦いを見守っていた側は揃って言葉を失う。

最初に口を開いたのは、先程あり得ない未来をぼやいていた日下部であった。


「…木下の奴、ついにやりやがったな」

「君の願望が叶うんじゃないか?」

「信じらんねぇ。確かに宿儺はスズのこと気に入ってたけど、あの状況であそこまですんなり…」

「本当すごいよ。やっぱりスズちゃんがいれば、人が死なない未来を選べる…!」

「ヤベー奴に好かれやすいスズのお陰で、一番いい形になったよな」

「つーかよ、この世で一番強ぇのってスズじゃね?」


秤のその発言に、場からは笑い声と"確かに"という言葉が飛び交う。

ひとしきり賑わった後、一行は揃って外へと繰り出した。





第116話 明るい未来へ





当初の予定通り羂索討伐に向かう乙骨を見送り、残りのメンバーは渦中の3人の元へ。

相変わらず低レベルな言い合いをしている最強コンビの間で、スズは既に仲裁するのを諦めていた。

表情からも雰囲気からも"誰か助けてくれ"という思いが伝わって来る。

故に、虎杖達の姿が見えた瞬間の彼女の表情は本当に晴れやかで…!

その心境の変化が手に取るように分かる木下スズという存在に、皆が皆笑顔を向けた。


「皆さん!お待ちしてました…!」

「おっ、来た来た〜。宿儺、手出しちゃダメだよ?」

「スズが望んでないことをするわけないだろ。いちいち絡むな、クソガキ」

「え〜だって構ってあげないと眠くなっちゃうじゃん、おじいちゃんって」

「貴様は少し落ち着いたらどうだ?何か起こる度に騒いでみっともない…」

「2人共、一瞬!一瞬でいいから止まってください…!」


スズの悲痛ともとれる訴えに、ようやく2人は口を閉じる。

それを受け、宿儺を警戒して近づいて来れずにいた見守り側メンバーに"大丈夫ですよ"と視線を投げた。

真っ先に走り出した虎杖を先頭に、新旧の高専生達はスズの元へ。

家入をはじめとする大人組は、五条に対し労いの言葉をかける。

そして呪いの王のところには、その他の死滅回游泳者達が興味本位で近づいて行った。


「おい、宿儺!次は俺の相手しろ」

「…ふん。スズが望まぬことはしない」

「スズ!いいよな!?」

「えっ!」

「宿儺と戦わせるって約束しただろ!?」

「いや、あれは秤先輩が勝手に決めたことで…!」

「スズ、俺の顔を立てると思って!なっ?賭け試合にして、儲けが出たら配分してやっから!」

「そこじゃないです!鹿紫雲と宿儺が戦っても、この辺一体荒地になりますから!そもそも…当面の間、戦うのはダメです…」


今までのツラく悲しい日々を思い出し、下を向くスズ。

一番近くにいた虎杖が、"そうだな"と優しい笑顔を向けながら彼女の頭を撫でた。



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