放っておけば1時間でも2時間でも言い合いを続けるであろう最強コンビ。

何とか彼らを引き離すため、まずは家入が同期の首根っこを掴んでその場を後にした。

清々したような表情を見せる宿儺だったが、彼の見た目はまだ伏黒のままだ。

伏黒を解放してくれという主からの言葉を、王は二つ返事で実行に移す。

宿儺が自身の胸をトンと叩くと同時に、転がり出てくる同期の体。

スズと虎杖が駆け寄れば、意識はないものの呼吸も脈も安定した伏黒を確認することができた。

安心して笑顔を向けてくるスズに微笑み返すと、虎杖は彼を背負って家入の後を追うのだった。


「……恵のこと、お礼は言わないからね」

「あぁ」

「…その姿が、本当の宿儺なの?」

「そうだ。怖いか?」

「ううん、怖くないよ。強そうだなって思う」

「ふっ、そうか」


他の者達もそれぞれやることや気になることがあり、いつの間にかあちこちに出払っていて…

今戦いの場に残っているのはスズと、元の姿になった両面宿儺だけであった。

五条よりも大きなその姿に驚きつつも、スズは凛とした佇まいを崩さず、座っている王の隣に腰を下ろした。

と、座った途端その体を持ち上げられ、膝の上に乗せられてしまう。


「え、ちょ、宿儺!?」

「この姿だとオマエとの距離が遠いからな。こうした方が顔もよく見える」

「そういうもの?」

「そういうものだ。気にせず体を預けていろ」

「うん。宿儺…」

「ん?」

「恵…大丈夫、だよね?ちゃんと戻ってくるよね?」

「意識をかなり深いところまで沈めたからな…時間はかかるだろう。だがそう遠くないうちに戻る」

「そっか…良かった。……津美紀さんを手にかけたのは、意識を沈めるため?」

「それが1つ」

「他にも理由があるの?」

「伏黒津美紀に入った万という女が、スズのことを狙っていた」

「えっ!?」

「俺がオマエのことを好いているのが気に食わなかったらしい」

「そんな…!」

「だから何としてもアイツだけは殺さねばならなかった」

「そうだったんだ…じゃあ私にも、責任はあるんだね…」

「…」

「恵が目覚ましたら、一緒に謝りに行こう」

「主の仰せのままに」


思わぬ事実を知り、動揺するスズ。

だが宿儺の主になったからには、彼の業を共に背負う覚悟を決めなければならない。

1つ大きく深呼吸をすると、目を閉じて背中を王に預けた。

また自分を守るために動いてくれていた彼に小さくお礼を伝えてから、スズはこの先の未来を思い描く。



一番最悪な結末は免れた。

それどころか、呪いの王が呪術師に手を貸してくれることになった。

もちろんこれからも呪いは発生し、呪霊も湧いてくるだろう。

でもきっと未来はいい方へ向かって行く。

今まで生き死にしか考えられなかった呪術師達が、他のことにも目を向けられる日がきっと来る。

その日を自分は誰と一緒に迎えるんだろう?

そう考えた時、スズの心の中には1人の男性の顔が浮かんでいた。



to be continued...



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