「スズ、バイバーイ!」

「バイバーイ!」


友人と笑顔で手を振り合っているのは、昨日五条と運命的な出会いをした木下スズ。

いつも除霊をしながら帰るため、友人はいるものの帰りは1人というのが彼女の日常だ。

しかし、今日はどうも様子が違うようで…

小学校の校門辺りに立ち、道行く女性達の視線を独り占めしている長身の男性の元へ走っていく。


「五条先生ー!」

「…おせーよ。俺がどんだけ絡まれたと思ってんだ。」

「すいやせん!…でも先生強そうなのに、そんなに絡まれるんですか?」

「男にじゃねぇよ、女だ。」

「ひゅー!逆ナンー!先生モテるんだ〜」

「この顔でモテないと思うか?」

「…あはは。いだっ!」

「行くぞ。」

「お、押忍…!」


この頃、五条はまだサングラス姿で生活していたため、少し歩けばすぐに女性達に声をかけられる日々を送っていたのだ。

今日も今日とて例外ではなく、スズを待つ間も好奇の目に晒されまくっていた。

そういった中で生きてきた彼だからこそ、あのような発言が出るのも仕方のないことである…

その発言に対して乾いた笑いを漏らしたスズの頭をグーで殴ると、五条は大股で歩き出した。

そう…これからスズは五条の任務に同行するのだ。


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公園での呪霊襲撃を片づけた後、帰宅途中だったスズを送りながら、五条は呪術界についてザックリと説明を始めた。

対する相手は違えど、根本的には似た職業である呪術師と陰陽師。

小学生とはいえ、スズも長年そういった世界に生きてきたため、彼の話をすんなり理解した。

また生まれ持った素直で好奇心旺盛な性格故に反応が純粋であり、五条がストレスを感じずに話せたのも大きかったのだろう。


そして彼はスズの自宅に到着すると、そのまま両親に面会し、将来的に彼女を呪術高専に入学させたい旨を説明した。

さらに高専入学前から自分の元で生活させ、呪術師として鍛えたいということも合わせて話す五条。

両親も最初は驚きと戸惑いが大きい様子だったが、彼の真剣さと娘の好奇心を尊重したい思いから承諾の返事をしたのだった。


「ただ2つ条件があります。」

「はい。」

「1つは小学校を卒業させること。もう1つは、中学生としての最低限の知識は身につけさせて欲しいということです。」

「分かりました。そこは私が責任を持って対応します。」

「そういうことであれば…娘をよろしくお願いします。」


そんなやり取りがあり、スズの未来はこの日から劇的に変わった。

まず残りの小学校生活を普段通り過ごしながら、放課後は五条の任務に同行し、あらゆることを見聞きして経験値を増やす。

その後は五条家に居候しながら鍛錬を積み、中学校に通わない分、高専関係者による一般教養の学習を受ける。

そして高専へ入学…という流れで、両親の合意が得られたのだった。



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