さて。

2人の期待を背負う虎杖のやる気を取り戻させるため、五条は再び話し始める。


「できないことはガン無視してこ!!君の長所を更に伸ばす。悠仁の体術に呪力を上乗せするんだ。

 下手な呪術よりも、こういう基礎でゴリ押しされた方が僕は怖いよ。さっきも言ったけど、肉弾戦の才能はピカイチだからね。」

「でもでも!それなら俺もうできるぜ!!あの時なんとなくコツは掴んだ。」

「そうなの、スズ?」

「…"あの時"は、です。」

「あ〜なるほどね。じゃあやってごらん。どうせできないから。ココ打ち込んで。」

「ケガしても知んないよ?」

「いいから、はよはよ。」


自分の右手に拳を打ち込んでくるよう促す五条は、余裕の表情で教え子の動きを待つ。

虎杖は自信満々に構えると、あの時を思い出しながら拳を繰り出した…が。


「篭もってなかったね、呪力。」

「なんで!?」

「呪力の源は負の感情。君の言う"あの時"は、怒りや恐怖に満ち溢れていたんだろう。」

「あ!!呪力を使う時は常にブチ切れてなきゃいけねーのか!!確かに伏黒もいつもキレ気味だったかも!!」

「ふふっ。(…恵と野薔薇元気にしてるかな〜)」

「違ウヨ。助けられた時、スズそんなに怒ってた?」

「んー怒ってはいたけど、そこまでは…」

「でしょ?皆わずかな感情の火種から呪力を捻出する訓練をしてるんだ。逆に大きく感情が振れた時、呪力を無駄遣いしない様にもね。

 訓練方法はいくつかあるけど、悠仁にはかなりしんどいのやってもらうよ。」

「ど…どんな?」

「映画鑑賞!!」

「映画…鑑賞??」


両手にたくさんのDVDを持って笑顔を見せる五条とスズに、戸惑いまくっている虎杖。

とても訓練とは思えない内容だが、スズ自身も実践した立派な修行である。

2人に見守られながら、虎杖の修行がいよいよ始まろうとしていた。



to be continued...



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