そうして五条家を出てから30分後…
五条の呪力を追っていたスズだったが、不意に感じた同級生達の呪力の上昇と京都校メンバーの殺気に足が止まる。
直後に聞こえてきた大音量の破壊音と伏黒の呪力減少を受け、バレたらマズイと思いながらもスズは音の方へ急いだ。
清水寺を模した建物へ駆けつけてみれば、そこには柱に押さえつけられている伏黒の姿があった。
「(恵…!何で東堂先輩と!?)」
「終わりじゃないぞ。」
そう言った東堂は伏黒の首にかけていた手に力を込め、彼の体を建物の遥か上へと吹っ飛ばす。
だがその直前にスズは回復の術式を発動し、同時に衝撃にも耐えられるよう強度を上げた呪力で伏黒を覆った。
根本的な解決にはなっていないが、少しでもケガが軽くなることを願いながらスズはその場を後にするのだった…
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東堂により建物の上へと吹っ飛ばされた伏黒は、懐かしい呪力に包まれている感覚だった。
頭から血は出ているし、体があちこち痛いのも変わっていない。
でもこの守られてる感覚とケガが治っていく感じは知っていた…
「(絶対スズの呪力だ…そんな訳ねーのに、何で…!)」
「例に漏れず、退屈。(だが一瞬、伏黒以外の呪力を感じた…あれは?)」
チラッと下に目をやる東堂だったが、そこには誰の姿もない。
と、視線を戻した彼の両手と腰に巻き付く伏黒の式神達。
だがその攻撃は東堂の機嫌を損ねるだけだった。
「やる気がまるで感じられん。」
「(理由は分からねーが、スズの呪力に助けられた…まだ動ける!)…下手に出てりゃ偉そうに。そこまで言うならやってやるよ…!」
「!」
「"動くな"」
「何、やっ、てんのー!!!」
伏黒の呪力が上がるのを感じて反応を示す東堂の動きが、狗巻の術式でピタッと停止する。
そして続けて現れたパンダによって顔を殴られ、東堂はようやく会話が出来るまでに落ち着いたのだった。
「フゥ…ギリギリセーフ。」
「おかか!」
「うんまぁ、アウトっちゃアウトか。」
「…久しぶりだな、パンダ。」
「なんで交流会まで我慢できないかね。帰った帰った。大きい声出すぞ。」
「言われなくても帰る所だ。どうやら退屈し通しってワケでもなさそうだ。」
「…」
「乙骨に伝えとけ、"オマエも出ろ"と。」
去っていく東堂の言葉を面倒臭そうに無視すると、パンダと狗巻は伏黒の元へ歩み寄る。
そこで2人の先輩は気づく。伏黒から感じるもう1つの呪力に…
特に狗巻は反応が顕著で、呪力を感じた途端ガバッと伏黒の肩を掴んだ。
「明太子!!」
「い、狗巻先輩!落ち着いてください…!」
「恵、どういうことだ?何でスズの呪力が…?」
「俺も分かんないんです。さっき急に呪力を感じて…」
「ツナマヨ…!」
「いや、俺が呪力を感じた時にはどこにもいなかったから、きっともう…」
「こんぶ…」
「棘〜そんなに落ち込むなって!復活してる可能性が高くなっただけ良かっただろ?」
「…しゃけ!」
突然感じたスズの呪力に動揺する3人だったが、いつか来る彼女の復活に希望を見い出し笑顔を見せた。
それからすぐに伏黒を医務室に運ぶため、先輩2人は彼に肩を貸すのだった。
to be continued...
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