五条との有意義な会話を終えると、スズは改めて気合いを入れ直し帳の中へと入っていった。

そこで最初に感じたのは、同期である虎杖の呪力と以前は強く感じなかった吉野の力だった。

2つの呪力がぶつかり合っている場所へ急げば、スズは校舎の窓から飛び出してくる虎杖と吉野の姿を目撃する。


「悠仁!!」

「! スズ!」

「今どういう状況!?」

「順平と戦ってんだけど、アイツ式神使えるようになってた!!」

「(だから前より力を強く感じるのか…!)大丈夫そう!?」

「平気!順平の相手は俺がする!スズは体育館の方頼む!!学校の人が倒れてんだ!」

「分かった!!」


虎杖から状況を聞いたスズは、彼の指示通り体育館へと向かう。

扉を開ければ、そこには全校生徒と言っても過言ではない程の人数が倒れていた。

出入り口近くに倒れている数人の様子を調べると、呪力で何かをされた形跡はなく気絶をしているだけのようだった。


「(これなら領域展開で、全員まとめていけるかな。)」


次の行動を決めると、スズは意識を集中して手印を組む。

そして静かに九字を唱えると、体育館全体に領域を展開するのだった…


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体育館の方からスズの呪力を感じ、虎杖は一瞬そちらに目を向ける。

その力に背中を押され、彼は呪力を込めた拳を吉野に向けて放った。

衝撃で再び校舎内へと戻ってきた吉野へ、虎杖は悲痛な表情を見せながら話しかける。


「順平の動機は知らん。何か理由があるんだろ。

 でもそれは本当に、あの生活を捨ててまでのことなのか?人の心がまやかしなんて、あの人の前で言えんのかよ!!」

「人に心なんてない。」

「オマエっ、まだ…!」

「ないんだよ!!そうでなきゃ…そうでなきゃ!!母さんも僕も人の心に呪われたって言うのか。

 そんなのあんまりじゃないか…もう何が正しくて、何が間違っているのかも…」


仕掛けている側の吉野もまた、苦しそうなツラそうな表情で虎杖と向かい合う。

そして式神を操ると、彼へ向けて攻撃を放った。

式神の攻撃を避けずに受け止めた虎杖は、吉野に謝罪の言葉を述べながら距離を詰める。

視線を合わせ穏やかに話しかければ、吉野は昨日の夜の出来事をゆっくりと話し始めるのだった。


「そんな…母ちゃんが……順平、高専に来いよ。バカみてぇに強い先生とか、頼りになる仲間がいっぱいいるんだ。

 この前一緒にいたスズもその1人でさ、めちゃくちゃ強いのにすげー優しくて…俺も何回も助けてもらった。

 だから皆で協力すれば、順平の母ちゃんを呪った奴もきっと見つかる。必ず報いを受けさせてやる。」


"一緒に戦おう"

最後にそう言って、虎杖は吉野の手を両手で強く握った。

そんな2人のやり取りを、怪しい男が階段の上から見つめていた。



to be continued...



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