時は戻り、視点は例の見知らぬ部屋へ降りてくる。
相変わらず縛られた状態の虎杖、その背後に立ち心配そうに彼を見守るスズ、そして2人の目の前で椅子の背もたれに寄りかかりながら座る五条の姿があった。
「ってなわけで改めて、君死刑ね。」
「…回想と展開があってねーんだけど。」
「いやいや頑張ったんだよ。死刑は死刑でも、執行猶予がついた。」
「執行猶予…今すぐじゃねえってことか。」
「そ。一から説明するね。」
「悠仁、これからめっちゃ大事な話するから、しっかり聞いてね。」
「お、おう。分かった。」
真剣な表情のスズに、虎杖は戸惑いながらもそう返事をする。
そして彼が食べた呪物について、五条は説明を始めた。
特級呪物"両面宿儺"の指は全部で20本あり、その内6本を呪術高専が保有していること。
両面宿儺は強力な呪いで、ちょっとやそっとじゃ壊せないし、現存の術師ではもう封印が追いついていないことを…
「そこで君だ。」
「!」
「君が死ねば、中の宿儺も死ぬ。うちの老人共は臆病でね。今すぐ君を殺せと騒ぎ立ててる。でもそんなの勿体ないでしょ。」
「勿体ない?」
「宿儺に耐えうる器なんて、今後生まれてくる保証はない。だからこう提言した。"どうせ殺すなら、全ての宿儺を取り込ませてから殺せばいい"。
上は了承したよ。君には今、2つの選択肢がある。今すぐ死ぬか、全ての宿儺を見つけ出し、取り込んでから死ぬか。」
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場所は変わり、仙台市のとある斎場内のベンチにて。
虎杖の用事が済むまでの間、先生と教え子は並んで座りながら待つことに…
天気も良く、穏やかな空の下、五条は不意に右隣に座るスズの頬を右手の甲で軽く触ってこちらを向かせた。
「ん?」
「体、本当に大丈夫か?」
「うん、大丈夫です!先生の呪力のお陰で、自分で回復できました。ありがとうございます!」
「どーいたしまして。今度高級パフェな。」
「…とびきりのお店を探しておきます。」
「よろしく〜」
そう言ってニヤニヤしながらスズの顔を覗く五条。
だがその表情をふと優しい笑顔に変えると、"無事で良かった"と彼女の頭に優しく手を置くのだった。
「! …い、いきなりそれは…カッコ良すぎませんか。」
「ごめんね〜俺、見た目も中身もイケメンだからさ。」
「…あはは。いへっ、いはいれす…!しゅみましぇん…!」
Sっ気満載な顔でスズの頬を抓っている五条の顔は、それはそれは楽しそうで…!
彼女のことを心配して出た"無事で良かった"という言葉は、紛れもなく本心のようである。
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