それぞれの待機場所で準備を整える生徒達。
やる気MAXな彼らの元に、各所に設置されたスピーカーから馴染みの声が聞こえてくる。
『開始1分前でーす。』
「あ、悟先生の声だ。」
『ではここで歌姫先生にありがたーい激励のお言葉を頂きます。』
『はぁ!?え…えーっと…あー…ある程度の怪我は仕方ないですが…』
「これ向こうの引率の先生よね?」
「うん。たぶん悟先生にむちゃぶりされたんだと思うよ。」
『そのぉ…時々は助け合い的なアレが…』
『時間でーす。』
『ちょっ五条!!アンタねぇ!』
『それでは姉妹校交流会…スタァートォ!!!』
『先輩を敬え!!』
「歌姫先生、振り回されてるなぁ…」
「スズ、行くぞ!」
「あ、はーい!」
スピーカーを見上げながら苦笑いを見せるスズだったが、伏黒からの呼びかけに応えて走り出す。
こうして波乱を巻き起こす交流会が始まった…!
第34話 京都姉妹校交流会 ー団体戦@ー
草木が生い茂る森の中を、パンダと虎杖を先頭に走り抜ける東京校の面々。
これから京都校メンバーと交戦しつつ呪霊退治をしていくことになる。
と、真ん中に陣取っていたスズの耳に、先頭2人の会話が聞こえてきた。
「ボス呪霊どの辺にいるかな?」
「放たれたのは両校の中間地点だろうけど、まぁじっとはしてないわな。スズどうだ〜?」
「んー…今は半分よりこっち側でフラフラしてますね。このまま呪霊の方から来てくれれば楽なんだけどな〜」
「まぁそう上手くはいかねーだろうな。例のタイミングで、索敵に長けたパンダ班と恵班に分かれる。後は頼んだぞ、悠仁。」
「オッス!!」
真希も含めた4人でそんな会話をしているうちに、辺りには様々な呪力が溢れてきた。
それにいち早く気づいた玉犬が速度を上げるのと同時に、7人の前に1体の低級呪霊が現れる。
一方でスズは、もう1つのヤバイ呪力の方を察知し行動を開始した。
「どごいグのぉ〜?」
「3級だな。」
「(あ、この呪力は…思ってたより早いな。急いで悠仁に壁つけなきゃ!)」
「…ん?スズ、今俺に何かした?」
「した!悠仁の周りに硬度を上げた呪力をつけたから、これで不意打ちの攻撃を1回だけ防げると思う!」
「マジか!スゲー!」
「でも相手が相手だから、その後はちゃんと呪力でガードするんだよ?」
「分かった!」
「もしケガしたら、首に下げてるそれを使うこと!」
「了解!ありがとな、スズ!」
首に下げた勾玉に手をやりながら少し後ろを振り返り笑顔を見せる虎杖に、スズもまた笑みを向ける。
それから2人が揃って顔を前に向けた瞬間、バガッというド派手な音と共に京都校の東堂葵が現れた。
「いよぉーし!!全員いるな!!まとめてかかってこい!!」
「悠仁、頼むよ!!」
「おう!!任せろ!」
「散れ!!」
「棘先輩、また後でー!」
「しゃけ!」
スズに背中を叩かれ送り出された虎杖は、その勢いで東堂の顔面に飛び蹴りを喰らわせた。
残りのメンバーは、真希の合図で左右に別れて速度を上げる。
パンダ班には狗巻と釘崎、恵班には真希とスズがそれぞれ割り振られていた。
「東堂1人でしたね。」
「やっぱ悠仁に変えて正解だったな。」
「何かまた体が大きくなった気がします。」
「分かっちゃいたけど化物ね。」
「そっ、だから無視無視。」
「ツナ。」
それぞれに言葉を交わしながら、虎杖を残し2チームは森を駆け抜けた。
彼らの作戦を知るために、時間を少し巻き戻そう。
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