「火神でも歯がたたない黄瀬の弱点が、パス回し以外コート上で最弱の…黒子…!?」
「すごい…さすがテツ!」
「で?確かに黒子っちのプレイだけは見てもムリっス。けどそれで何が変わるってゆーんスか?」
黄瀬が火神にそう問いかけた直後、第1Q終了を告げるホイッスルが鳴り響く。
これから2分間の休憩に入るため、一旦選手はベンチに戻ることに…
その去り際、火神は言う。
「変わるさ!次の第2Qでホエヅラかかせてやる!」
第7Q「逆襲よろしく!」
27−35という海常の8点リードで終えた第1Q。
しかしその点差の少なさに納得がいかないのか、監督の武内はまたも怒鳴り散らしている。
一部の選手は返事をしているが、黄瀬だけは異様なほど静かにコートを見つめていた。
さて、一方の誠凛ベンチでは…
何やら火神がある作戦を提案したらしく、それに対してリコが意見を述べているところだった。
「…なるほど……うん、いけるかもソレ。」
「キセキイエローの弱点も見抜いちゃうし、さっきから珍しく頭冴えてるじゃん!」
「珍しくって何だよ、スズ!」
「でも本当、火神君もやっと頭冷えたみたいね!」
「いや、オレは最初から…」
「「超ムキになってたよ!」」
「けど、黒子君と火神君2人の連携が大事よこれ。できる?」
ニヤニヤしながら自分を見つめるスズの頭を例の如くガシッと掴みながら、火神はリコの言葉に耳を傾ける。
自分で提案した作戦が採用されたのはいいものの、そのためには黒子と手を組まなければいけないのだ。
そのことに対し、相棒の方をチラッと見ながら"なん…とか…"と弱気な発言をする火神。
そんな彼を見つめ返していた相棒は、突然火神の脇腹に水平チョップをお見舞いした。
「きょっ…!」
「ぶふっ!"きょっ"って可愛いな〜おい!」
「う、うるせースズ!それより、テメ!何いきなり…!」
「黄瀬君を倒すんでしょう?」
「…ったりめーだ!!」
お返しとばかりに、火神は若干強めの水平チョップを黒子に食らわせた。
その2人の様子に、スズとリコも安心したように笑顔を向け合う。
「あれなら何とか大丈夫そうですね!」
「そうね!彼らには頑張ってもらわないと!」
そして第2Qの始まりが告げられる。
気分も新たに、いい顔でコートに入っていく選手達へリコが声をかける。
「んじゃま…逆襲よろしく!」
「よろしく!」
腕を組みながら揃ってそう言うリコとスズに、選手達は思わず笑みをこぼす。
方や的確な指示や作戦でチームを支えるカントク、方や選手を心身ともにリラックスさせるマネージャー。
自分達のベンチにいる2人の女子高生は、何とも頼もしい存在なのである!
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