火神が"ホエヅラかかしてやる!"と豪語した第2Qが始まった。

海常のDFは先程までと同じマンツー。

日向がそれを確認したとほぼ同時に、誠凛のPG・伊月が火神へとパスを出す。


「…?何か変わったんスよね?」


黄瀬からそう挑発されても、頭の冷えたエースは落ち着いた様子でドライブをし、相手を抜きにかかる。

もちろん黄瀬はそれにしっかりとついていったのだが…次の瞬間!

火神は手を後ろに回し、背中側からボールをパスした…相棒である、黒子テツヤに。

そしてそのボールをすぐさまタップパスで火神に返し、そのままエースのレイアップで2点を追加した。


「(黒子っちと連携で…!?)」

「っし!オッケ、ナイッシュー!」

「いいぞーテツ!大我ー!ナイスプレイ!」


次のOFも、また火神は黒子へとパスを出した。

そしてそれを、"前回と同じ手でくるだろう"という黄瀬の考えを読み、今度は日向へと回す。

マークが外れ、どフリーで放った3Pシュートはキレイな放物線を描きゴールへ吸い込まれた。

が、得意気に1年コンビを振り返った彼の視界に、自分を気にかける後輩の姿はない。


「ぷっ。日向先輩、ガッツリ無視されてる…!」

「スズ〜笑ってるの見えてるし、独り言も聞こえてるからな〜」

「ひっ…!」

「あとで覚悟しとけ〜?」

「えー!?そんな…」


自分の方を見ずにそう言う日向に、スズはどうしようもない恐怖を感じたとか…

しかしそんな和やかな誠凛とは打って変わって、海常は穏やかではいられない。

第2Q開始早々、いくつもの不安要素が表に現れ始めたのだから。


「…いや、相当打ちこんでるぞ、あの4番…後半、気ィ抜くなよ。

 それよか10番火神だ。抜くパターンに、11番黒子の中継パスを組みこんできやがった。」

「…?パスもらうだけだった10番火神が、パスするようになっただけだろ?そこまで変わるのか?」

「えらい違いだよ、バカ!

 今までは黒子のパスと火神の1on1はあくまで別々のパターン…ただの2択に過ぎなかった。

 だがパスで繋がったことでお互いの選択肢が増えて、前より一段上の攻撃力になる!」

「(しかもその要である黒子君は、黄瀬君が動きをコピーできない…いわば天敵!火神君と黒子君…この2人なら…)」

「コラ、大我ー!周りよく見なさーい!」

「うっ…はい。」

「(…まあ多分…ギリで…いける!)」


パスミスをし、スズに怒られる火神を見ながら、リコは少し不安げにそう思っていた。


「黒子っち…!」

「…黄瀬君は強いです。ボクはおろか、火神君でも歯が立たない。…けど、力を合わせれば…2人でなら戦える。」

「…やっぱ黒子っち変わったっスね…帝光時代にこんなバスケはなかった。

 …けど、そっちもオレを止められない!そして勝つのはオレっスよ…!

 黒子っちの連携をお返しすんのはできないっスけど…黒子っちが40分フルにたない以上…結局後半、ジリ貧になるだけじゃないっスか。」


そう言って、ボールを受け取った黄瀬は自陣のゴールの方へ体を向ける。

と、その進む先に立っていたのは…


「…そうでもねーぜ!」

「やっちゃえ、テツー!!」

「黒子が…黄瀬のマーク!?」

「なっ…!」


黄瀬のマークについたのは、天敵である黒子。

相手チームの誰もが驚く誠凛のこの奇策は、果たして吉と出るか、凶と出るか…



to be continued...



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