「ハッハハッ、いんだね今ドキ。いーぜ別に。じゃあバスケで勝負してやるよ…て。」
「あのーオレらもまざっていっスか?」
「つーか、何いきなりかましてんだ、テメー。」
「「「(でででケェ〜!?なんじゃ〜!?)」」」
スズがコート内に入ると、黒子・火神・黄瀬の3人が、ガラの悪い高校生達と睨み合っているところだった。
まぁ相手は、火神と黄瀬の身長の高さに驚き、既に腰が引けているようだが…
そして火神の"5対3でいーぜ。かかってこいよ。"という一言で、試合の開催が決定した。
「ちょっとー!"5対3でいい"って、試合する気!?」
「おぅ。つーか、荷物サンキュ。すっかり忘れてたわ。」
「あ、オレのも持ってくれてるんスね!ありがとっス〜!」
「ボクのまで、すみません。」
「いや、それは全然構わないんだけど…そうじゃなくて!テツは平気なの?」
「はい。スズに言われた通り、無理はしませんから安心して下さい。」
そう言って笑顔を向ける黒子に、スズも渋々ではあるが納得したようで…
"やるからには、相手にトラウマ植え付けるぐらい、圧倒的に勝つこと!"
という、何とも男気溢れる言葉を3人へ贈ったのだった。
その言葉に黒子達は思わず笑顔になり、それぞれスズに返事をする。
「オレ、スズのそーゆーとこ嫌いじゃないぜ。…これ、頼むな!」
「うわっ!ちょっと、何すんの!」
ニカッと笑いながら話しかけ、着ていたジャージをスズの頭にかぶせる火神。
「スズっち、カッコ良すぎ!オレ超やる気出たっスわ!…あ、オレのもよろしくっス〜!」
「おっと…!涼太までーもう!」
キラキラした笑顔でスズを見つめ、脱いだブレザーを2つ折りにして彼女の肩にバサッとかける黄瀬。
「スズ、大丈夫ですか?」
「テツ〜…もうあのバスケ馬鹿達どうにかしてよ〜!」
「ふふっ。2人ともスズに懐いてますからね。」
「あははっ!"懐く"って!」
「…まぁ、ボクも懐いてますけど。」
「へ?」
「ということで、これもお願いします。」
きちんと畳んだジャージを、スズが手に持っていた荷物の上にポンと乗せる黒子。
可愛らしい笑顔と、ドキッとするセリフを置き土産に、彼もまたコート内へと入っていく。
スズはといえば、4つのバッグと3つの上着、そしてドキドキとうるさい心臓を抱え、コート脇にあるベンチへと腰を下ろしたのだった。
さて、一方コートの中では…
各自ストレッチをしながら、試合開始の時を待つ3人。
そんな中で黄瀬は、大量の荷物や上着と共にベンチへちょこんと座っているスズを見て、"置物みたいで可愛いっスね!"と、俄然テンションが上がっていた。
「か、可愛いって…!オマエ、よくそういう恥ずかしいことサラッと言えんな!黒子属性か!」
「何スか、黒子属性って…つーか、このぐらい普通っスよ。むしろ恥ずかしがってる方が変っス。」
「んだと!?」
「2人ともそのぐらいにして下さい。スズが恐ろしいほどに睨んでます。」
「「え?」」
黒子の言葉で2人がベンチへ目を向ければ、そこには冷たい目で自分達を睨む少女の姿があった。
"やるからには圧倒的に勝つことって…言ったよね?"
スズの視線からは、そんな言葉が聞こえてくるようだった。
マネージャーとしては…
練習試合後で疲れてるのに、更に黒子に至ってはケガまでしてるのに、そんな状態でこれ以上体を動かしてもらいたくないのだ。
にも関わらず許してやったんだから、真剣に全力で圧倒的にやれ!と、そういうことなのだろう。
そんなスズの意図を本能的に察知し、冷や汗を流しながら火神と黄瀬が頷けば、彼女は途端に笑顔になり、自慢のミラクルボイスで声をかけてくれるのだ。
「テツ!大我!涼太!」
「「「?」」」
「コテンパンにやっちゃって!」
「はい。」「おぅ!」「はいっス!」
変な力が抜け、リラックスした状態で試合に臨んだ3人。
その動きは試合後とは思えないほどにキレがあり、そして皆が皆とても楽しそうにプレイしていた。
当然、結果は黒子達の圧勝。
バテバテな相手チームを他所に、3人は余裕の表情でスズが座るベンチの方へ向かった。
「皆、お疲れー!」
「どうだ、スズ!圧倒的に勝ってきたぜ!」
「最っ高!スカッとしたよ!」
「スズっち〜オレも頑張ったっしょ?」
「うん!カッコ良かった!」
「やっぱりスズの応援があると違いますね。」
「ふふっ。お役に立てて何よりです!」
それから各自に荷物と上着を渡し、4人は先程黒子と黄瀬が話していた公園まで戻ってきた。
そして戻るなり、火照る体を冷ましながら、火神のお説教タイムが始まる…
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