やりたいことをさせない。

行きたいとこへ行かせない。

そうやって相手の苦手な態勢に追いこんで、プレッシャーをかけて楽にシュートをさせない。

そうすれば、もし届かなくても…


「またダメだ!!さっきから全然だぞ!?」


ボールがゴールに入ることはない。

それに加え火神には、2mを今にもブロックしそうなジャンプ力と、殺気とも言えるような集中力がある。

これはまさに"鬼に金棒"状態であり、相手にとってはハンパないプレッシャーになるのだ。


誠凛エースのこのプレイスタイルに、お父さんもついにイライラを隠せなくなってきていた。

自分より身長の低い選手が相手にも関わらず一向にシュートが決まらないことに、彼は相当参っている様子。

だがそれは仕掛けている側も同じであり、先程から火神の顔には青筋が浮かんでは消え、消えては浮かんでいる始末。


「(こっちだってストレス溜まんだよ、このやり方は!やっぱもっとスカッと倒さねーと気がすまねー!…から決めた!)

 ヘイ!2つ言っとくぜ。1つは…この試合中に、ぜってーオマエのシュートたたき落とす!」

「ソんなの…ナいじゃん、でキるワケ!子供がイるチームなンかに、負けない!」

「もう1つは…」


そう言いながらマークをくぐり抜けた火神がいる方に、伊月がビッとボールを出す。

自分の目の前に飛んできたボールを、お父さんがキョトン顔で取ろうとした瞬間…!

不意に現れた黒子によるタップパスで、ボールはピンポイントでエースの手に渡った。

そしてそれをそのまま、ダンクでゴールに押し込んだのだった。


黒子子供もけっこーヤバいかもよ?」

「てゆーか、子供で話進めるのやめて下さい。」

「いいぞーテツー!大我ー!」



to be continued...



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