in マジバ

何故かまたしても遭遇してしまった黒子と火神。

行きつけの店がカブるのは、何とも厄介なものである…


「…なんでまたいんだよ…」

「ボクが座ってる所にキミが来るんです。好きだからです、ここのバニラシェイク。」

「どっか違う席行けよ。」

「いやです。」

「仲いいと思われんだろが…」

「だって先座ってたのボクですもん。」

「まぁまぁ!2人ともケンカしないで。」


そう言って黒子と同じバニラシェイク片手に現れたのは、他でもないスズだ。

片付けが終わり1人で帰っていた際、マジバで彼らの姿を見つけ上がってきたらしい。


「ここ座ってもいい?」

「もちろん。」

「いいぜ。むしろ2人じゃなくなるから助かる。」

「仲良くしなよね〜全く。」


呆れたように笑ったスズがイスに座るのを待ち、火神は2人にそれぞれ1つずつバーガーを投げる。

何故いきなりバーガーを投げられたのか分からないスズと黒子は、お互いに顔を見合わせる。


「バスケ弱い奴に興味はねー。が、オマエのことそれ1個分位は認めてやる。」

「…どうも。」

「えーと、じゃあ私のこれは…?」

「オマエは、あの試合前のかけ声だよ。」

「え?」

「スズの声聞いた瞬間…何か熱くなって、でも身体は軽くて、すげーいい状態で試合に入れたんだよ。

 だからそのお礼…っつーか、これからもよろしく…ってことで。」

「! ふふっ。ありがとっ!こちらこそよろしくね。」


それから火神が食べ終わるのを待って、3人は揃って店を出た。

スズを真ん中にして、右に火神、左に黒子という並びで歩いていると、不意に右から声が聞こえてくる。


「…"キセキの世代"ってのは、どんぐらい強ぇーんだよ?」

「「?」」

「じゃあオレが今やったらどうなる?」

「…瞬殺されます。」

「ぷっ。瞬殺…!」

「もっと違う言い方ねーのかよ…」


隣で笑いを必死に堪えているスズの頭をガシッと掴みながら、火神は青筋を浮かべてそう言う。

しかし、"ちょっと大我君、痛い痛い痛い!"と訴えるスズを無視し、黒子は更に言葉を続ける。


「ただでさえ天才の5人が、今年それぞれ違う強豪校に進学しました。まず間違いなく、その中のどこかが頂点に立ちます。」

「…ハッハハハ!いいね!火ィつくぜ、そーゆーの!…決めた!そいつら全員ぶっ倒して、日本一になってやる!!」

「ムリだと思います。」

「ぷぷっ…!」

「ぅおいっ!!」


自分の意気込みをまたも黒子にサラッと否定され、青筋が増える火神。

もちろん横で笑っているスズの頭を掴むことも忘れていない。


「潜在能力だけならわかりません。でも今の完成度では、彼らの足元にも及ばない。1人ではムリです。

 …ボクも決めました。ボクは脇役だ。…でも、影は光が強いほど濃くなり、光の白さを際立たせる。

 主役の影として、ボクも主役キミを日本一にする。」

「…ハッ、言うね!勝手にしろよ。」

「頑張ります。」


向かい合い、そう言葉を交わす2人は、スズの目にキラキラと輝いて見えた。

そしてそんな2人に対し、彼女も先程までの笑顔をしまって真剣な…だがどこか穏やかな表情で語りかける。


「じゃあ私も決めた!」

「「?」」

「2人が日本一になれるように、私もマネージャーとして全力で支えるよ!」

「! ぜひお願いします。」

「うん!」

「ふっ。モタモタしてっと置いてくからな?しっかりついてこいよ、スズ。」

「任して!」



こうして3人の物語は始まった。

"打倒・キセキの世代!"

"目指せ・日本一!"

高く、力強い目標を胸に、彼らは動き出す…!



to be continued...



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