学校終わって、することもねーからブラブラ歩いてたら突然スズに名前を呼ばれた。

いつも通りの、あの呼び方で…





標的19 呼び方





"獄寺くん"

そう呼ばれてイラっとするようになったのは、いつからだっただろう。

10代目のことは"ツナ"と呼び、山本のことは"やまもっちゃん"って呼ぶのに…何でオレだけ"獄寺くん"なんだよ。


今まではこんなこと考えなかった。

…いや、考えないようにしてた。考えてると、自分が自分じゃなくなる気がしたから。

でも今日スズが話してんのを聞いて、もう我慢できなかった。


"恭弥忙しくてさ"


頭の中で、この言葉だけが面白いように繰り返される。

何だよ、恭弥って…

スズがヒバリに初めて会ったのは、確か並盛を案内した時のはずだ。

ってことはつまり、オレの方がヒバリより先にスズに会ってるってこと。

スズとの付き合いは、オレの方が長いってこと…

なのに何で、ヒバリの方が呼び捨てなんだよ。


呼び方を気にするなんて、オレらしくないって分かってる。

じゃあ何でこんなに呼び捨てにこだわるんだって聞かれたら…そこは正直オレ自身も分かんねー。

別にスズのことが好きだからとか、そんなんじゃない…と思う。

ただ何か無性に…イライラするんだ。


「…獄寺くん?大丈夫?」


そう言ってオレの顔を覗き込むスズはマジで心配そうで…

大方、"どっか具合が悪いのか?"とか"自分が何か変なこと言ったのか?"とか、そんな感じで思ってるんだろう。

そんな姿を見て、オレは思わずスズの肩に両手を置いた。


「ご、獄寺くん…?」

「スズ……1つ、聞いていいか?」

「あ、うん!何?」

「…何でオレのこと……名前で呼ばねーんだ?」


オレはまともにスズの顔が見れなくて、両手を肩に乗っけたまま俯きがちにそう聞いた。

我ながら情けねー質問だと思う。大の男が口にすることじゃねーよな。

言ってから次々に後悔の気持ちが沸いて耐えられなくなったオレは、慌てて今の発言を撤回しようとしたんだけど…

その前に、スズから予想外の言葉が飛び出してきたんだ。


「何でって、癖…かな?向こうの世界にいる時、いつもそう呼んでて。獄寺くんさえ良ければ、私はいつでも呼び捨てする気満々なんだけどね!」

「へ?本当か?」

「ちょ、獄寺くん…!急にそんなキレイな顔上げないでよ!は、恥ずかしいでしょ…!

 てかマジですよ。だってさ、獄寺くんだけ呼び方堅苦しいな〜って気になってたんだもん。」


そう言って少し困ったような、でもどこか寂しそうな表情を見せるスズ。

何だよ…オレ1人で悩んでてバカみてーじゃねーか。

そう思った瞬間体の力が抜けたオレは、そのままスズに抱きついちまったんだ。


「! あ、あの!だ、だ、大丈「スズ。」

「ん?ど、どした?」

「オレのこと…呼び捨てで呼んでいい。てか…呼べっ!」

「えっ、いいの!?マジで呼んじゃうよ?呼びまくっちゃうよ?」

「…いいよ。」

「やった〜!ありがと、隼人!!」


アホ。

礼言うのは、オレの方だっつの…



to be continued...



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