やまもっちゃんに耳元で囁かれた朝。

隼人に告白っぽいものをされた昼。

そんなドキドキな午前中を頭の中で何とか消化していると、辺りはもうすっかり薄暗くなっていた。

ヤバっ!そろそろ帰らないと…!


そう決めてから公園を出て数分。

何やら後ろから怪しい足音が聞こえてきます…





標的24 事件前 -中編-





どうしよう…こういう場合、後ろにいるのってやっぱり変態と呼ばれる人達なのかしら。

後ろ振り向いて、素っ裸の人がいたら…うっ!想像しただけで気持ち悪い。

でもずっとそんな気分でいるのも嫌だし、私は自分の予想が外れてることを願いながら思い切って振り向くことにしたんだけど…


「…ギャーっ!!」


予想は見事に当たり、気分は一気に最悪な状態に…

何でよ!勘弁してよっ!!

そんなことを思いながら走りまくる私を、その露出狂は全速力で追いかけてきた。

しかもこの人が結構足速くて、こんな運動不足の体じゃ逃げ切れる自信ないんですけど…!

うわーん!誰かーっ!!


…と、その時!

前方にのんびりと歩いている学ラン姿のあの子が見えたんだ。


「! 恭ー弥ー!!」

「?」

「ハァ…ハァ…助けて!!ヤバイの…!」

「スズ。何、どうしたの?何かあった?」

「あの、そこで!…あのね!えと…変態が…!」


息が上がって上手く喋れないながらに状況を伝えていると、突然私の視界から恭弥の顔が消え、代わりに学ランが目に入った。

それはつまり抱きしめられてるということなわけで…


「…少しは落ち着いた?」

「は、はい…!」

「ふっ…もう大丈夫だから。ね?」

「…うんっ。」


背中をポンポンと叩かれながらそう言われると、本当に心から安心できて…!

"もう大丈夫"

この言葉が何度も頭で繰り返されるうちに、さっきまでの負の気持ちがスーっと消えていったんだ。


「…で?何があったの?」

「うん、あのね…そこで変態に遭遇して…逃げたら追いかけて来たから怖くて…!」

「そっか…頑張ったね。」

「! 恭弥…」

「あとは僕に任せて、スズはそこにいて?」

「わ、分かった…!」


それから間もなく、追いかけてきたあの変態がまたも目の前に現れた。

私がとっさに恭弥の後ろに隠れると、彼は私の方をチラッと見てからトンファーを構えたんだ…


「…キミがスズを襲った変態?」

「ぐへへ〜だったら何だ〜?」

「咬み殺す。」


冷たい声でそう呟くと、次の瞬間には私の前から姿を消していた恭弥。

どうやら私が目を瞑ったその一瞬の間に、変態をボコボコにしていたらしい…

そして事が済み私の方に歩いてくる恭弥を見て、"もう自分を追っかけてくる奴はいないんだ"って思った途端、何かフッと気が抜けちゃって。

自分でもビックリするぐらい無意識に、その場に座り込んでしまった。

そんな私に、恭弥は片膝をついて目線を合わせてくれて…


「よっぽど怖かったんだね。」

「ハハ…そうみたい。本当にありがとね、恭弥…!」

「いいえ。…スズに何かあったら嫌だしね。」

「! ど、ども…!」


何か、今日はやたらとドキドキさせられる日だな…!

皆どうしたんだ?私に優しくしても何も出ないよ?

ていうか、これじゃお姉さん心臓がいくつあっても足りないから!

そんなこんなで下を向いていた私の視界に、不意に恭弥の手が映った。


「?」

「…帰らないの?」

「か、帰ります!」

「だったら早く行くよ。」

「! …もしかして送ってくれるの?」

「また変態に襲われたいなら別にいいけど。」

「嫌です!ぜひ送って下さい…!」


そう言いながら慌てて恭弥の手を握れば、彼はまたあのキレイな笑顔を見せてくれたんだ。

その笑顔とか、手を握ってることとか、もういろんなことにドキドキしながら私は沢田家へと向かったのです。



to be continued...



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