数十分後…
突然引っぱられた髪の毛に驚きながらも、俯いていた顔を上げれば、そこには寝ぼけ眼の隼人の姿があって…!
呼吸器をつけていたために声が出せず、私を呼ぶ代わりに髪の毛を引っぱったようだ。
そんな彼の名前を呼びながら呼吸器を外してあげると、隼人は薄っすらと笑みを浮かべた。
「隼人っ!」
「…よっ。」
「良かった…!大丈夫?体起こせる?」
「おぅ、悪ぃな。…ってかスズ、ずっとここにいてくれたのか?」
「うん。…そのぐらいしかできないし。」
「んな顔すんなよ。スズがいてくれて、すげー…嬉しかったし。」
照れ臭そうにそう言う隼人の顔を、私はしっかりと見れなかった。
ビアンキには笑顔でいろって言われたけど、本人を前にするとやっぱり無理だ…
だってこのケガは、私がしっかりしてれば避けられたはずのものだから。
「…スズ?どうした?」
「私ね…隼人がこうなるって分かってたんだ……漫画で見てたから。でも守れなかった…ごめん。」
「…関係ねーよ。」
「え?」
「オレがケガしたのは、オレ自身が弱かったからだ。スズのせいじゃねー。それにお前はオレのこと守ってくれたじゃねーか。」
「へ?」
「"へ?"じゃねーよ。覚えてねーのか?オレが倒れた後にメガネヤローが攻撃してきた時、オレを庇ってくれただろ?」
「あ、あれは…とっさに…!」
そう言いながら恥ずかしくて目を逸らした私の頭を撫でながら、隼人は"ありがとな"ってキレイな笑顔を向けてくれたんだ。
いつもと変わらないその笑顔を見たら、何かまた私にも元気が戻ってきて…!
本当この姉弟には、励ましてもらってばっかりだ。
「…さっ、グズグズしてらんないね!隼人のことだから、もちろんツナのとこ行くんでしょ?」
「ったりめーだろ!」
「ふふっ。じゃあ早く着替えられるように、お姉さんが手伝ってあげよう!」
「なっ…!バ、バカなこと言ってんじゃねー!1人でできるっつの!!」
「もう、照れなくていい「照れてねーよ!早く出てろって、アホスズ!」
顔を真っ赤にした隼人にそう言われながら保健室を追い出された私は、しばしドアの外で待機することに。
保健室の壁に寄りかかり、"いつも通りに会話できて良かった…"なんて思いながら待つこと数分。
着替え終わった彼と共に、私はツナの所に向かったんだ。
と、その途中…
「あ、スズ!」
「ん?」
「今度は…オレが守ってやっから。」
「! うん!ありがと…!」
「おぅ。…は、早く行くぞ!お前足おせーんだからよ!」
「ちょっと!私そんなに遅くないって!」
とは言ったものの、持久力のなさは相変わらずで。
段々とスピードが遅くなる自分に嘆きながらも必死で走っていると、不意にツナとリボーンの声が聞こえてきた。
その声を受けて、前を走る隼人の方に顔を向ければ、タイミング良く彼もチラッとこっちを振り返る。
そして互いに笑みを見せた私達は、また走るスピードを速めてツナ達のところへ足を進めたんだ…!
「ひいいい!そーだったー!!オレ、どーすりゃいいんだー!?リボーン!どーしよー!!怖ぇーよー!!」
「もうわかってるはずだぞ。奴らがおまえを探すためにやったことを忘れるな。おまえが逃げれば、被害はさらに広がるぞ。」
「そ…そりゃあ…そりゃあオレだって奴らのやり方おかしいと思うよ。みんなまでまきこんで…骸って奴ムカつくよ!
だけど、あのヒバリさんも帰ってきてないんだぞ…そんな奴ら、ダメツナのオレに倒せっこないよ……ムチャだよ…」
「だけどまわりはそう思ってねーぞ。」
「え?」
「おっ、いたいた!オレらもつれてって下さい!」
「え…」
「今度はメガネヤローの息の根とめますんで!!」
「獄寺君!!」
「ハァハァ…やっと追いついたー!…私も!救護班としてついていくから!」
「スズまで!!」
私達が到着してから数分後には、やまもっちゃんとビアンキも集合して…!
これで、一連の事件を起こした犯人のアジトへと乗り込むメンツが無事に揃ったというわけだ。
「よし、敵地にのりこむメンツはそろったな。守りから攻めに転じる時だ。
奴らのアジトは新国道ができてさびれた旧国道の一角だと思われる。多分人質もそこにいるはずだ。お前達のよく知る人質がな。」
「人質…あっ!」
「ん?どうしたの、スズ?」
「あ、いや、何でもない…!」
「(…人質が誰か思い出したのか?)」
「(うん。早く助けてあげなきゃ…!)」
そう答えると、さっき他の人に聞こえないよう小さな声で私に話しかけてきたリボーンは真剣な表情で頷いた。
そしてその後、彼の"30分後に集合な"という言葉を機に、各自準備があった私達は一旦解散することにした。
to be continued...
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