解散後、持って行くリュックに治療道具を詰めるため部屋にいた私は、自分が震えていることを意識せずにはいられなかった。

さっきは強気にあんなこと言ったけど、1度黒曜センターの雰囲気を味わってしまった身としては、もう一度あそこに行くのはかなり怖い。

武器とか戦いへの慣れとか、そういうのを持ってればいいけど…

あいにく私はごくごく普通の一般女子。

何かされたら一発であの世逝きだ。怖いに決まってる。


…でも必ず助けるって恭弥と約束したし、フウ太も早く助け出してあげたいし、他のみんなの力にだってなりたい…!

ツナ達より少し年上なんだからしっかりしないと!!

と、その時。

気持ちを整えながら荷物整理をしていた私の耳に、突然部屋のドアがノックされる音が聞こえてきた。





標的30 出発!!





「(誰だろ…ツナかな?)どーぞー!」

「おす!準備できたか、スズ?」

「やまもっちゃん!!」


ノックに対し返事をして振り向けば、そこには開いたドアからひょこっと顔を出すやまもっちゃんの姿があった。

その手には何故かお弁当と水筒があるんだけど…今は気にしないでおこう。


「てか、やまもっちゃん来るの早いね!」

「おぅ。ちょっと…スズに話したいことあってさ。」

「私?何、どうした?」

「あのさ……オレのことも、呼び捨てで呼んでくんね?」

「え?」

「あ、いや別に"やまもっちゃん"って呼ばれるのが嫌なわけじゃねーんだ!

 ただ…他の奴は呼び捨てで呼ばれてんのに、自分だけあだ名だからさ。ちょっと寂しいな〜って…」


眉を下げて、捨てられた子犬みたいな顔でそう呟くやまもっちゃんは本当に可愛くて…!

何だかんだ言っても、やっぱり中学生なんだな〜って実感した。


「ふふっ。じゃあ…武って呼ばせてもらおうかな!」

「! おぅ!へへっ…何かすげー嬉しい!」


そう言ってハニかんだように笑う彼を見てると気持ちが明るくなって、さっきまでの震えが少しおさまった。

やっぱりツナと同じようにこの子にも、周りの人を安心させる力がある!

そんなことを思いながら武を見つめていた私に、彼は不意に声をかけてきた。


「そういえば…さっきスズ震えてなかった?」

「えっ!そ、そうかな…」

「…実はさ、ノックする前にチラッと部屋ん中覗いちまったんだ。その時、ちょっと震えてるかな〜って思ったんだけど…」

「そっか…んー武には隠し事できないな。」

「! じゃあ…」

「うん…やっぱりちょっと怖くなっちゃってさ。」


"我ながら情けなくて困るよ"

苦笑いでそう付け足せば、武は真剣な表情のまま、私と目線を合わせるようにしゃがんで…

そして次の瞬間、ふわっと抱きしめてくれたんだ。


「おわっ!ちょ、武どうし「情けなくなんかねーよ。」

「え?」

「スズは女の子なんだから、怖がんのが普通だって。だから…情けなくなんかない。」

「…うん。」

「それに…オレがスズのことぜってー守るからさっ!安心して?」

「! ありがと、武っ!」


何とも男前な台詞と共に、少年のような元気な笑顔を私に向けてくれる武。

そんな彼にお礼を言えば、ポンポンと頭を撫でてくれる。

何気ない行動だけど、それはすごく温かくて、私は心の底から安心したんだ。

それにドラマの中だけだと思ってた"お前を守る"なんて台詞も、隼人に続いて武にまで言ってもらえて…!

これで不安がってたら、2人のイケメンに申し訳ないよね!


だから決めたんだ。

私は私らしく、元気でいようって。

リボーンの言う通り、笑顔を忘れないように!



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