30分後、準備を整えた私達は予定通り出発した。
そして新国道ができたせいで使われなくなり、すっかり静かになった旧国道を歩くこと数十分…
私達は無事に黒曜センターの前へと辿り着いた。
かつては栄えていたらしいこの施設も、今やその面影は影も形もない。
無残に壊れた建物に荒れ果てた地面、そして鍵がさびて開かなくなった門。
悪いこと考える人達がアジトにするにはもってこいの場所って感じだよね〜本当。
そんな錆びきった門を調べながら隼人が言う。
「カギはさびきってる…奴らはここから出入りはしてませんね。どーします?」
「決まってるじゃない。正面突破よ。」
「きゃっ!姉さん、男前!」
「ふふっ。ありがと、スズ。」
「なっ、ちょっ、ビアンキ!」
「ポイズン・クッキング 溶解さくらもち。」
そう言って、ブシュウウ…という音と共にビアンキが門の鍵を壊し、私達は奥へと進んだ。
元の世界で見た漫画の記憶と、さっき恭弥を助けに来た時の体験から敵のいる場所に見当をつけた私は、
"1番奥にある建物の中に敵はいるはず"と、みんなを目的の場所へと導いた。
「そういう情報は助かるぞ。」
「やるな〜スズ!」
「いや、こんなの全然…!」
「そんなことないわ。スズが覚えててくれなかったら、倍以上の時間がかかっていたもの。」
「まっ、よくやった方じゃねェの。」
「ありがとう、スズ!」
「へへっ…どういたしまして!」
なんて和やかな会話をしながら先を進んでいると、不意に先頭を歩く武が何かの足跡を発見した。
それは爪の部分に血がついた、犬にしては大きすぎる足跡で…
辺りを調べてみれば、えぐられた木や食いちぎられた檻も見つかって、事態は一気に緊張モードになったんだ。
確かこの後、犬らしき動物が襲い掛かってくるはず。
でも…どっから来るか分かんないんですけど!!
「あ、あのみんな!たぶんもうすぐ犬みたいなのが襲ってくると思うから気をつけて…!」
「えーっ!?」
「確かに何か気配すんな〜」
「……後ろだ!来るぞ!!」
その声と同時に、犬よりも少し大きな体の獣がこっちへ突っ込んでくる。
武が持ち前の運動神経で何とか防いだものの、襲ってきた獣がすでに死んでいるという事実に誰もが驚きを隠せない。
私も間近で見る死体にすっかりパニックになり、もう何かを判断できるような状態じゃなくなっていた。
そのせいで、きっと私はボーっとしてたんだろう。
横から来る獣に全く気づいてなかったんだ…
「! スズ、危ねェ!!」
「えっ…?」
隼人に名前を呼ばれ意識を戻せば、私の方に向かって1頭の獣が突進してきていた。
叫び声を上げる間もなく、その距離はものすごい早さで縮まり、ついには獣の鋭い牙が私の目にハッキリと映ったんだ。
"もうダメ…!"
そう思いながら頭を抱えてしゃがんだ私は、数秒後に自分の体を襲うであろう衝撃に備えた。
でも…
「こいつもえぐられた死体だ!おぃ、スズ大丈夫か!?」
「へ?は、隼人…?」
「おぅ。ほら、立てるか?逃げるぞ!」
「あ、う、うん!」
「ひいいいっ!一体何が起きてんの〜!?」
「狙われてるわ!早くこっちへ!!」
どうやら私を庇って、隼人が衝撃を受けてくれたようで…
その証拠に、さっきまで白かった彼のシャツに点々と獣の血が付いている。
そしてそのまま隼人に手を引かれ、私はビアンキが示す方向へと走り続けたんだ。
誘導するビアンキを先頭に、リボーン・ツナ・隼人と私、そして1番後ろを武が走るっていう状態が数分も続いただろうか…
隼人に手を引いてもらいながらひたすら走り続ける私の耳に、ふと嫌な音が飛び込んできた。
ミシ…
瞬間、この音が記憶の引き金になり、元の世界で見た漫画の記憶がバババッと蘇ってくる。
確かこの辺って…
「動植物園だ。」
「ん?どうした、スズ?」
「ここら辺は動植物園で…地下に埋まってて…」
「スズ?何、ボケっとしてんだ!行くぞ!?」
「待って!それで…犬ちゃんが来るんだ。そうだっ!犬ちゃんだ!」
「は?"けんちゃん"って何だよ?」
突然立ち止まり何事かをブツブツ呟く私に、険しい表情でそう問いかける隼人。
でも彼の質問に答えてる場合じゃない!それよりも今は…!
「武、気をつけて!!犬ちゃんが来る!!」
「へ?"けんちゃん"って「かかったびょーん!」
くるりと後ろを向き、こっちに走ってきていた武に警告をしたのとほぼ同時に、地面の下から犬ちゃんが飛び出してきた。
最初の一撃は何とか避けたものの、次の瞬間…!
バリンッ!!
地面に倒れこんだ衝撃で地下に埋まっていた動植物園が壊れ、そのまま武は私の視界から消えてしまった。
「うわああっ!!」
「いらっしゃーい!」
「武っ!」
「何…?今の…」
「人影に見えましたが…スズ、今のがお前が言ってた"けんちゃん"って奴か?」
「う、うん!」
そして慌てて武が落ちた場所に行き、みんなで中を覗き込めば、そこは想像以上に薄暗くて嫌な感じがしたんだ…
しかも思ってたよりもずっと深い。
「いっつ〜」
「あんなところまで〜!?」
「あのバカ、足ひっぱりやがって!」
「武、大丈夫ー!?ケガないー!?」
「お〜平気平気〜!サンキューな!」
「(笑ってるし…)あっ!山本ッ!!右に何かいる!!」
「!」
ツナの声に武が右を向くと、そこには獣のような雰囲気をまとった犬ちゃんがいたんだ。
to be continued...
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