「山本、気をつけてー!!カゲに何か獣いる!!」

「いや"獣"じゃなくて、あれが"犬ちゃん"なんだって!」

「だから"けんちゃん"ってのは何なんだよ!」

「何って…人間で、敵だよっ!」

「えーっ!?人間なの!?」

「敵って…それを先に言えよ!!」

「スズ、どんまいよ。」

「まぁ、スズらしいっちゃらしいな。」


スズ達がこんなやり取りをしてる間に、闇からその姿を現した男。

金色の髪にピンを留め、黒曜の制服に身を包んだ彼こそ、これから山本武と一戦を交える城島犬だった…





標的31 山本武 vs. 城島犬 





「カンゲーすんよ、山本武。」

「!?」

「柿ピー寝たままでさー。命令ねーし、やることねーし、超ヒマだったの。そこへわざわざオレのエモノがいらっしゃったんだもんな。超ハッピー。」

「お?」

「ほ、本当だ…人だった。」

「黒曜の制服!!」

「上の人達はお友達〜?首を洗って待っててねーん。順番に殺(や)ったげるから。」


上を見上げながらそう言い、口元を緩める城島。

見た目は普通の人間ながら、彼から発せられる雰囲気はどちらかと言えば獣に近いものだった。

ヤバいぐらいの殺気、怪しい雰囲気、危険な匂い…

しかしこれらの要素を全て跳ね返し、純粋な気持ちで彼を見つめる人物がいた。

それは…


「うわ…!犬ちゃんって、思ってた以上に可愛い!!」

「え?スズ…な、何言ってんの?」

「いやさ、漫画で見たときはもうちょっとごっついイメージだったんだけど、そうでもないな〜って!」

「アホ!10代目はそういうこと聞いてんじゃねーんだよ!おまえ…あいつ敵だぞ?」

「分かってる!分かってるけど…ほら、意外と華奢じゃない?」

「どうでもいいわ、んなこと!」

「相変わらずマイペースだな、スズ。まっ…オレはおまえのそういうとこ嫌いじゃねーぞ。」

「ししっ!ありがと、リボーン!」

「ちょ、2人して何和んでんの!?」


ツナの的を射たツッコミがバシッと決まったところで、場面を動植物園の室内へと移してみよう。

そこには目の前の敵から視線を外さない山本と、何故か上を見つめたまま動かない城島の姿がある。

いや、上を…というよりも、スズをと言った方がいいかもしれない。

彼女を見る城島の表情は、どこか切なく哀しいものだった…



「…」

「いつまでそうやってんだ?上に何かあんのか?」

「…変な女。」

「? …あぁ、スズのことか?」

「…」

「確かに変わったとこはあるかもな〜。でもすっげーいい奴だぜ?スズが笑うとさ…何かあったかくて安心すんだ。

 オレはその笑顔と…スズを守りたい。だからこんなとこで負けるわけにはいかねーんだわ。」

「へっ…んなこと、オレには関係ねーびょん。よーい…ドン!」


文字通りその言葉が合図となり、城島はものすごい速さで山本に向かっていった。

壁を使いながら彼を翻弄するように動き回る姿は、まるで本物の獣になってしまったかのようで…!

そして一際大きく壁を蹴り込むと、鋭い牙を向けながら山本に襲い掛かったのだった。

その威力はといえば、彼が咄嗟に構えた"山本のバット"を簡単に噛み砕いてしまうほど。


「山本のバットがー!!」

「スズ、おまえ…あれでもあいつが可愛いとか言えんのかよ!」

「…あ、あれはさすがに怖い。」

「ヒャッホーゥ!!次は喉をえぐるびょん。」

「ひいいっ!木とかえぐったのあの人ー!?」

「ありゃ人間じゃねー!呪い!?呪いかー!?」

「の、呪いじゃないって!あれにはちゃんと仕掛けがあるのっ!」

「「仕掛け?」」


ツナと獄寺がそう尋ね、スズがそれに答えようとした、その時…!

突然始まった戦いに戸惑い、押され気味だった山本が不意に言葉を発する。

口調は穏やかなものの、その表情はさっきまでとは一変して鋭いものになっていた。


「なるほどな。マフィアごっこってのは、加減せずに相手をぶっ倒していいんだな。…そういうルールな。」

「山本…怖がるどころか…」

「あいつ、あー見えて負けん気つえーからな。バッドを折られて、心中穏やかじゃねーぞ。」

「何か、すごくいい表情になったね…!」


しかしこんなときでも山本節は全開で…

どうやら先程から、敵の姿がコロコロと変わることが気になってしょうがないらしい。

そんな彼に、城島も呆れながら自身の体の仕組みについて語り始める。


「まーいーや、教えちゃう。ゲーム機ってカセットさしかえるといろんなゲームできるっしょ?それとおんなじ。」

「歯!?」

「カートリッジをとりかえると、いろんな動物の能力が発動するわけよ。…コングチャンネル!」


そう言って1つの歯をとりつけた城島の姿は、瞬く間にゴリラへと変わっていた。



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