上の階を担当するメンバーから順にダストシュートへ入って行く。

早速出発する矢颪に、スズは心配そうに声をかけた。


「碇君、気をつけてね…!」

「おぅ。つーか、俺のことより自分の心配しろ。…無茶なことすんなよ」

「分かってる。ありがとう!ケガしたらすぐ治しに行くから!颯さんと、海月さんもお気をつけて」

「あぁ!」「ん。ありがと」


そうして3人を見送ると、すぐに次の百目鬼が動き出す。

盲目とは思えないようなスムーズな動きに、スズは改めて驚きを感じながら彼を送り出した。


「よっしゃ。ほな次は俺らやな。岬、先頭頼むで」

「オッケー」

「俺が後ろにおるから、スズ先に行き?」

「はい。ありがとうございます」


鳥飼と蛭沼に送り出され、スズは囲に続いてダストシュートを上り始めた。

物を落とすという役割故に、その表面はツルツルしており、油断すると滑り落ちそうになる。

慎重に進んでいたスズを、不破は後ろから微笑ましく見守っていた。


「スズ〜そないビクビクせんでも大丈夫やで。もし滑ったら受け止めたるから」

「えっ、いや、そんなの危ないです…!」

「平気平気〜ギュってしたるから飛び込んどいで」

「不破っち、エロ親父みたい」

「誰が親父や!まだピチピチやっちゅーねん」

「エロの方は否定しないんだ」

「ふふっ。お二人って仲いいですよね」

「まぁマブダチってやつやな」

「え、俺そんなつもりないけど」

「岬君、ひどーい」

「あははっ」

「…っと、ここだね」


前後の名コンビのお陰でリラックスしたスズは、持ち前の運動神経で何とかダストシュートを攻略した。

先に建物内に入った囲が、スズに手を貸して引き上げる。


「ありがとうございます、岬さん!」

「どういたしまして。よく頑張りました」

「押忍!」

「ふっ」

「岬く〜ん、俺にも手貸して〜」

「さっ、行こっかスズ」

「ちょお待ってって!」

『皆、各階に到着したね』


2階組がワチャワチャしていると、タイミングを見計らったように乙原から声が届く。

建物の構造的に今いる場所は一般フロアであり、その先に厳重な扉で守られた重要フロアがあるとのこと。

目的を達するためにはそこへ行かないことには始まらないため、各自桃太郎を倒しながら進むようにという指示だった。


「こっからはいつ桃が出て来てもおかしくないから、気引き締めて行くで」

「はい…!」

「俺らの傍から離れないでね」

「了解です…!」

「…よしっ!スズ、手繋ごか!」

「へ?」

「その方が傍におれるし、安心やろ?」


そう言うと、不破は返事を待たずスズの手を握って歩き出す。

彼女の表情に不安が見え隠れしているのを感じ取った不破が、それを和ませようと取った行動であった。

"片手が塞がると、いざという時危ないのでは…!"と心配するスズに、不破はお気楽に返事をする。


「そこは岬が頑張ってくれるから大丈夫。なっ?」

「俺が守るのはスズだけだよ。不破っちは自分でどうにかして」

「え〜冷たいわ〜」


軽口を叩きながら進む2人を見ていると、ここが敵の本拠地であるということを忘れそうになる。

突入前と何も変わらない彼らに頼もしさを感じ、スズの表情は少し和らいだ。

お礼を伝えつつ手を握り返すと、パッとこちらに顔を向けた不破が優しい笑みを見せた。


そうして慎重に足を進めること数十分…

幸いなことに1人の桃太郎とも遭遇せず、スズたちは扉の前に到着した。

時を同じくして他のメンバーも到着し、声をかけ合う。


『こちら鳥飼、蛭沼』

『羽李か!どうした!』

『扉の前に到着した』

『こっちも来たでー』

『百目鬼参上!』

『皆到着したか!それじゃあこの研究所の核心部に侵入するぞ!』


等々力の言葉に、スズも今一度気合いを入れ直すのだった。



to be continued...



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