"ここを突破して、この研究所にいる桃太郎を!皆殺しにする!"
その等々力の声を合図に、各チームがいよいよ厳重な扉の内部へと侵入する。
扉を開けるために必要なのは物を溶かす力…"酸"の能力を持つ不破の血だった。
本人がいる2階組は不破が直接扉に手を触れ、それ以外のチームは持参した彼の血を扉にかけることで穴を開けることに成功した。
扉に異変が発生した時点で警報が鳴るかと思われたがそれはなく、未だ辺りは静寂に包まれている。
だが等々力が穴の中に手を伸ばした瞬間…!
耳をつんざくような警報音が鳴り響いた。
第51話 華厳の滝跡地研究所@
『マズイ!扉の内部に赤外線の認証センサーが内臓されてたんだ!』
「てことは、私たちも手を入れたら同じ音が鳴るってことですよね…?」
「十中八九そうやろな」
「そんなに簡単に行かせてはくれないか」
『バレたなら仕方ない!いずれバレることだ!各自桃の殲滅!鬼の救助にあたれ!スズ、もしもの場合は治療を頼む!』
『もちろんです!』
『そしてもう1つ!死ぬな!』
大将の言葉に、皆が揃って"了解"と返事をする。
それから2階組の3人は視線を交わし、今度は不破を先頭に扉の内部へと足を踏み入れた。
案の定同じ警報音が鳴り響き、すぐさま背後から大勢の桃太郎の足音が聞こえてきた。
「ひぇっ!もう早速来ました…!」
「いきなり体力使うんは得策じゃないわな」
「そうだね。できれば隊長・副隊長クラスに会うまでは戦いたくないかな」
「ほな、1回あいつら撒こか」
「オッケー。スズ、走るから今度は俺と手繋ご」
「は、はい!」
「あ〜でも闇雲に走り回んのは嫌やな」
「研究室みたいなとこに向かいつつ…ってのが理想だよね」
「それなら私、案内できます!地図は頭に入ってるので」
気合いの入った表情で、元気よく言葉を発するスズ。
今まで鬼國隊の中にはいなかった治療班というポジション。
おまけにサポート能力も高いため、乙原の負担もかなり軽くなっている。
そんな頑張り屋な新顔に、2人の先輩はパッと笑顔を見せた。
「スズは優秀やな〜ありがとう、助かるわ!」
「いえ…!」
「……このまま鬼國隊にいればいいのに」
「それがええわ。その方が岬君の機嫌もいいまんまやし」
「何それ」
「ほんまのことやん。…でもまっ、そんなん関係なくスズのことは必ず守る。だからもうちょい肩の力抜き?」
「あ、ありがとうございます…!不破さんって、女性にモテそうですね」
「え〜めっちゃ嬉しいねんけど。でも急に何で?」
「だってあんな風に言ってもらったら、女性は皆キュンとしちゃいますよ」
「スズも?」
「へ?」
「スズも俺にキュンとしてくれたん?」
微笑みながら顔を近づければ、スズは途端にしどろもどろになる。
落ち着きのない視線とほんのり染まる頬も相まって、彼女が動揺しているのは丸わかりだった。
「え、いや、あの…そういうわけでは…!なく、て…」
「(こんな分かりやすい子おんねや。あかん、めっちゃからかいたい…!)そうか〜スズ、俺んこと嫌いなんや〜」
「違っ、そういうことじゃないです!そうじゃなくて…」
「ほな好き?」
「すっ…!き、かどうかは…その…!」
「嫌いじゃないんやったら、好きって言うて欲しいな〜」
「あ、あの…!」
「不破っち、後ろ来てるから」
「あーせやった。忘れてたわ。…続きはまた今度な、スズ」
「えっ…!」
「続きなんかないから。あんまりスズのことからかわないでよね」
「自分が嫌やから?」
「…そういうことじゃない。早く行くよ」
「(岬も意外と分かりやすい奴なんやな〜おもろっ!)は〜い!」
スズの手をギュっと握りしめ、囲は走り出す。
先輩コンビのやり取りの意味が分からず後ろを振り返るスズに笑いかけ、不破もまた後を追って走り出した。
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