スズの案内に従い走り続ける3人。
途中何人かの桃太郎と遭遇したが、先輩コンビが難なく片づけ、大事には至らずに今を迎えている。
と、そんな折…脳内に声が届いた。
『こちら鳥飼、蛭沼。隊長・副隊長と遭遇。戦闘に入る』
「! もう隊長・副隊長と…」
「確かに早いね」
「俺らの方も近いかもしれん。気引き締めて行くで」
「はい!」
鳥飼たちの戦況を気にしながら進み、15分程が経った頃…
乙原からスズと等々力に向けて通信が入った。
『大将、スズ!鳥飼さんの状態、かなりマズいよ!このままじゃ…!』
『ケガの具合、酷いんですか!?』
『うん。かなり弱ってる…スズ、行けそう?』
『大丈夫です!すぐ向かいます!』
『鳥飼!』
『おぉ大将…ゲホッ…!どーした?』
『今から助けに行く!なんとか持ち堪えろ!』
『…あぁ?来るな!先行け!』
『鳥飼…?』
『ハァ…ハァ…勘違いすんじゃねぇ…ゲホッ!俺は仲間にはなったけど…ガハッ…足手まといになったつもりはねぇんだよ…お前は真っ直ぐ進め!』
『…先に行く!必ず来い!』
『了解…』
『スズ、出発できるタイミングで声かけて。案内するから!』
乙原の言葉に返事をし、スズは一旦通話をオフにした。
そして近くにあった空き部屋に入ると、この後の動きを3人で話し合う。
「スズ、1人で行けるか?」
「はい!乙原さんの案内があれば最短で行けますし、いざとなれば姿を消す手段もあるので」
「気ぃつけや。何かあったらすぐ連絡すること」
「了解です!」
「…やっぱり俺が途中まで一緒に行く」
「「え?」」
「何かあった時守れるように俺らが傍にいるのに、1人で行動させんのは違うでしょ」
「俺だって一緒に行ってやりたいわ。でも俺らには目的があるやろ?それを忘れたらあかん」
「忘れてない。けど、スズに何かあったら……嫌だ」
「(! あんま感情出さんこいつが珍しっ…!)」
「ありがとうございます。心配して下さって嬉しいです」
「…本当に1人で行く気?」
「はい。大丈夫です。少しでも危ないと思ったら必ず連絡を入れますから」
「…」
「岬はスズのこと信じらへんの?」
「そんなことない。信じてる」
「岬さん、任せて下さい!私これでも結構修羅場くぐってきてるんで!」
「…こんな時までカッコ良くてムカつく」
スズの頬を抓りながらそう言った囲は、痛がる彼女を見て口角を上げた。
それから抓った場所を優しく撫で、"気をつけてね"とスズを見送るのだった。
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スズが出発し、空き部屋に残された男2人。
向かっていた研究室の場所はスズから教えられていたので、すぐに彼らは行動を再開した。
歩きながら話すのは、さっきまで一緒にいた彼女のこと。
「岬があんな心配すんの珍しない?」
「別に、普通でしょ」
「え〜今まで見たことないような顔してたけどな〜」
「してない」
「…スズに惚れたやろ」
「俺が熟女好きだって知ってるよね?」
「性癖は変わるもんや。運命的な出会いがあればな。それに…健気な子は嫌いじゃないんやろ?」
「! …起きてたの?」
「たまたま聞こえてきただけや」
「はぁ〜…不破っちこそ、性癖変わったんじゃない?」
「俺?俺は変わらず3桁からがストライクゾーンよ」
「さっき散々スズのことからかってたじゃん」
「だってあんな分かりやすく顔と態度に出る子初めてやってんもん。からかいたくもなるわ」
「ふーん」
「安心しぃや。俺にとってスズは妹みたいな感じやから。お前の恋路を邪魔したりせぇへんよ」
「なら良かった。あとで俺と同じ気持ちになっても…譲ったりしないから」
「!」
挑戦的な笑みを向けられた不破は、自分の心臓が少しザワつくのを感じた。
その理由が分からず、しばし思考が停止する。
「(同じ気持ち…?いや、ないないない!妹やって言うてるやん!)」
「不破っち早く〜置いてくよ〜」
「今行くわ!」
彼が囲と同じ気持ちになるかどうかは…まだ誰にも分らない。
to be continued...
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