「戻ったよ〜」

「やっと来た。遅かったやん、何して…って、顔赤っ!スズ、どしたん?」

「え、あ、いや、何も…!」

「あ〜岬か。またからかったん?」

「さぁ?」

「あんま刺激の強いことしたらあかんで?敵地やねんから。スズも気ぃつけや?」

「は、はい!」


照れ臭そうなスズの頭をポンと撫でながら、予想以上に手が早い仲間を苦笑の表情で見やる不破なのだった。





第55話 華厳の滝跡地研究所➄





3人が合流した研究室もまた、1階のそれと同様に荒れ果てていた。

残された書類やパソコンを手分けして調べるスズ達だったが、なかなか相手側の目的や研究内容を把握できない。

と、そんな折…パソコンを調べていた囲が2人を呼んだ。


「不破っち、スズ」

「ん〜?」「何ですか?」

「これ見て」


囲を中心にパソコンを覗き込むと、そこには実験の様子を撮影したと思われる写真が映し出されていた。

鬼の脳みそや血を取り出しているその光景は、現実とは思えないほどに凄惨なものだった。


「酷い…」

「うぇ…趣味悪すぎやろ…」

「1人2人どころじゃない…数百人…」

「…あっ。1階の研究室を調べた時、鬼のマークと100っていう数字が書いてあるデータがあったんです。もしかして…」

「関係ありそうやな…」

「急がないと捕まってる鬼も…」

「しかしホンマ何の研究してんねん…」

「それをあんたたちが知る必要はないわ。だって私たちも知らないし?何研究してるか」

「知らない!それよりおしっこしたい!」


不破の呟きに言葉を返したのは、第2部隊隊長・桃木田与一と副隊長・桃脇岼であった。

突然の登場に驚いたのも束の間、不破と囲はすぐさま表情を切り替えて相手を見据える。

もちろん、スズを後ろに庇うことは忘れずに。


「おでましやで。スズ、下がっとき」

「俺らから離れないでね?」

「はい…!」

「うふふ…美しい私に人生の幕を引いてもらう幸運な男はどっち?それとも同時でもいいわよ?」

「「…」」


岼の発言に、男2人は顔を見合わせる。

それぞれ肥満好き・熟女好きという性癖を抱える彼ら…

30代半ばで標準体型の岼には、何の魅力も感じなかった。


「「ガリガリ/ガキンチョに興味ないな」」

「は!?」

「ぎゃはは!フラれたでしょ?フラれたね!」

「岬〜スズの前でそんなん言うてええの?」

「スズは例外。…俺にとって特別な子だから」

「!」

「興味ないとか、そんな照れ隠しするなんて…あんたたち童貞?」

「シンプルに興味ないもんなぁ」

「ぬぁ!?」

「お姉さんの体重があと60キロあれば話は変わるんやけどなぁ」

「あと60!?デブ専!?」

「デブ専って言葉あんま好きやないわぁ」

「おデブが好きなの?じゃあさ!僕も好き?」


そう言って飛び上がった与一は、自身の体を巨大なボールへと変える。

どんどん膨らみながら不破の方へと迫っていき、そのまま壁に激突した。


「不破さん!!」

「あらら。不破っち任せたーって聞こえてないか」

「大丈夫でしょうか…潰されてたりしたら…」

「そんな簡単にやられる人じゃないから、心配しなくていいよ。てことでこっちも…」


2人が視線を向けた先には、副隊長の岼がいる。

だが目を閉じ、何かを考えているのか沈黙のままでいる彼女を、スズと囲は不思議そうに見つめていた。



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