「お疲れ様でした…!」
「ありがと。にしてもあの人怖すぎでしょ」
「岬さんが呪われなくて良かったです。顔と腕のケガ見せてください」
「腕はともかく、顔はほっといてもいいよ?あんま影響ないし」
「ダメですよ。せっかくの整った顔に傷が残ったらどうするんですか!」
「! …スズにそう言ってもらうと嬉しいかも」
「ふふっ。今までも言われてきたんじゃないんですか?」
「似たようなことは言われたことあるけど…今みたいに、ドキドキする嬉しさはなかったかな」
「そ、そう…でしたか…!」
座った状態で向かい合い、スズの治療を受けていた囲。
さっきまでの悪い男っぷりが嘘のように、彼の表情と声音は優しく甘いものだった。
囲の言葉に少し顔を赤くしながら俯き、腕の治療を続けるスズだったが、顔を治すためにはどうしたって目線を上げなければいけない。
自分の中で気合いを入れ顔を上げれば、こちらを穏やかに見つめる囲と目が合う。
「…み、岬さん、少し…目閉じててもらえないですか?」
「何で?」
「何でって…その、見られてると恥ずかしい、ので…」
「俺のこと意識してくれてるんだ」
「えっ!?いや、全然、そんなことは…」
「スズって嘘つけないタイプなんだね」
「…」
「…ねぇ」
「は、はい!」
「俺の気持ち、どこまで気づいてる?」
「え?」
「"特別な子"っていうのがどういう意味か…どのぐらい伝わってる?」
「あ、えっと…大切に、して下さってるのは…すごく感じて、ます…!」
「うん、当たってる。それ以上の気持ちもあるのは?」
顔を覗き込んでそう問いかければ、スズは恥ずかしそうに小さく頷く。
それを満足気に見つめていた囲は、クスッと笑みをこぼすと、座ったまま距離を詰めスズを抱き締めた。
岼の時とは比べ物にならない程、優しく温かい抱擁だった。
「岬さん!?」
「ごめん。スズと話してるとついからかいたくなる」
「刺激が強すぎます…」
「ふふっ。まだ慣れない?」
「全然ですよ…!」
「そっか。……いつかちゃんと言葉で伝えさせて?」
「!」
「それまでは、俺にとってスズがすごく大切な存在だってことだけ覚えといて欲しい」
「はい…!」
「ありがと、スズ」
そう言って抱き締める力を強くした囲の表情は、とても幸せそうだったとか。
to be continued...
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