無陀野との会話を終え、スズや鬼國隊メンバーの元へとやってきた皇后崎。

その場にいる全員に対し、彼は覚悟を決めて言葉を発する。


「聞いてくれ!このままじゃ人質の乗った飛行船は落雷で墜落しちまう!」

「何か方法があるのか?」

「ある!お前らの大将の…風の力で飛行船を移動させる」


皇后崎の案に、鬼國隊の面々は目を見開いた。

ついさっきまで死闘を繰り広げ、命からがら脱出してきたのだ。

スズの治療がなければ、いつ死んでもおかしくない状態である。

そんな自分たちのリーダーに向かって何を言っているんだと、仲間たちは反対する。

だがそんな中でスズだけは、皇后崎の言葉を実現できるよう必死に手を動かしていた。





第61話 華厳の滝跡地研究所J





皇后崎と鬼國隊メンバーがやり取りを続ける中、優秀な援護部隊は等々力と向かい合う。

輸血をしながら、致命傷となっている内臓の損傷を治療していると、不意に患者の意識が覚醒した。


「……スズ…?」

「颯さん…!良かった」

「天使かと、思ったぞ…」

「何言ってるんですか。まだそっちの世界に行くには早すぎます。皆さんが待ってますよ」

「うむ…そう、だな」

「颯さん…体が酷い状態だというのは百も承知で、お願いがあります」

「?」

「力を貸してください。颯さんの力が必要なんです…!」

「何を言うかと思えば…そんなの、いくらでも貸すに決まってるだろ…!だが、1人では無理だ…傍にいてくれるか?」

「もちろん…!必ず守ります」

「よし…やるぞ……今すぐやるぞぉぉぉぉ!」


スズの返事に微笑んだ等々力は、死にかけているとは思えないような声量で叫びながらガバッと体を起こした。

突然の大声に驚きながらも、スズはふらついている彼を慌てて支える。

リーダーの復活に喜んだ鬼國隊メンバーだったが、やはりこれ以上動くのは心配なようで…


「大将…!無理したら…」

「ここまで運んでくれてありがとう。お前らは皆凄い。俺の自慢の仲間だ。

 そんなお前らは!ここで引き下がる軟弱者に付いてきたのか!?違うだろ!」

「何かあればすぐ応急処置ができるように、私が絶対に傍を離れません!お願いします…!」

「…は!乙原ぁ!限界まで俺の血を抜け!大将ぶっ倒れても、輸血できるようになぁ!」

「うちも」

「あーもう!なら俺は着陸した時に備えて、上で待機しとるわ!」

「まったく…お前は毎回先陣切って無茶しやがる…」

「すまんな」

「いや…それでこそ俺らの大将だよ…」

「フッ…」

「スズの力がすごいことは、俺が身をもって知ってる。俺らの大将のこと、任せたぞ」

「はい!」


強い眼差しを向けてくるスズの頭をポンと撫でると、鳥飼もまた動き始める。

彼を見送ったスズは、1つ大きく息を吐いて今一度気合いを入れる。

そして、意識を失わないよう大声で皇后崎と会話をしている等々力の元へと駆け寄った。



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