鳥飼が去った後、皇后崎はスズの前に膝をつく。
数秒無言で見つめてから、彼は唐突に目の前の少女に向かってデコピンをお見舞いした。
"痛っ!"と驚きながらおでこを押さえるスズに、皇后崎は不機嫌そうに言葉を漏らす。
「…あんま隙見せんなよ」
「え、な、何のこと?」
「誰彼構わず笑いかけんなってこと」
「それじゃ無愛想じゃない?」
「お前はそんぐらいでちょうどいいんだよ」
「え〜そうかなぁ…」
「(あー…嫉妬とかダサ過ぎだろ)そうだよ。…ほら、帰るぞ。背中乗れ」
そう言って背を向ける皇后崎に最初は遠慮していたスズだったが、実際問題歩くことは難しくて。
小さくお礼と謝罪を伝えながら、彼の背中に体を預けた。
首元に想い人の腕が回されると、さっきまでの不機嫌が嘘のように皇后崎の顔は穏やかになる。
それを隠すため、彼はしばらくスズへ小言を言いながら足を動かすのだった。
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3人の生徒を背負った羅刹組と、鬼國隊の面々が改めて向かい合う。
すっかり元気を取り戻した等々力は、この数日間のお礼を真っ直ぐに伝えた。
「本当にありがとう!貴方たちがいなかったら全滅してた!困ったことがあれば言ってくれ!いつでも駆けつける!」
「(颯さん、いい顔してる!)」
「それと…スズ!」
「は、はい!」
「お前は俺たちの命の恩人だ!スズに何かあれば、必ず助けに行く!だから…もう"簡単に死ぬ"なんて言うなよ!」
「! はい、もう二度と言いません!ありがとうございます、颯さん!」
「うん!やっぱりスズは素直で可愛いな!大好きだぞ!」
「えっ!?」
「それじゃあ…また会おう!」
等々力の衝撃的な発言に本人はもちろん、一部の人間は大いにざわめく。
だが火種を作った張本人は、何とも清々しい顔で新たな道へと歩いて行くのだった。
こうして華厳の滝での戦いは幕を閉じた。
残念ながら、全てが一件落着とは…言い難い。
1つの綻びは直ったが…
新たな綻びが生まれる結果となった。
スズですら治せない一ノ瀬に生まれた綻び。
これがこの後、彼を酷く苦しませることになる。
それでも…
奪われた夜は終わり、解放の朝を迎えた。
そうして戦ったからこそ、見れる景色がある。
朝焼けに照らされながら、スズは皇后崎の背中で再び眠りに落ちた。
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スズや四季が華厳の滝へ行っている最中…
杉並区の鬼機関は桃太郎機関に攻め込まれ、静かに暮らす鬼を含め死者32人、重軽傷者48人を出し…
杉並区の鬼は桃太郎に壊滅させられた。
次の戦いの火蓋は既に切られていた…
第4章 fin.
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