「でも女の子は大勢愛してなんぼっすよねぇ、京夜先輩!」

「戦場じゃ大勢に手を差し伸べるけど、恋愛においては一途主義なんだ」

「時間の無駄だ。話を進めろ」


今まで静観していた無陀野の一声で、ようやく打ち合わせの空気が戻って来る。

隊長が到着しても、場を仕切るのは百鬼であった。


「現状だが、杉並区鬼機関も中心地!高円寺が襲撃された結果、ほぼ壊滅状態だ!

 医療部隊も偵察部隊もやられちまったから、真澄先輩!京夜先輩、あと昨日からスズにも来てもらってる!

 さらに今は高円寺一帯を桃に包囲されて、周辺に住む一般の鬼はいまだ避難できず隠れているが、見つかって殺されるのは時間の問題だ!

 高円寺以外の鬼は避難が終わってるのが唯一の救いだ!」

「よく逃げられたな」

「街に住む鬼は基本鬼機関に登録するんだ。そうすれば緊急時の避難方法を教わったり、何かあったとき探してもらえるからね。

 街に住む鬼の見回りなんかも業務の1つだよ」

「へー」

「今回最初に高円寺が襲撃されたから、すぐにその情報が伝わって周りの鬼は避難できたって感じだよ」

「包囲って?一般人装って逃げりゃいいだろ」

「できたらやってるよバーカ。見ろ」


皇后崎の疑問に答えた淀川は、そう言いながらタブレット端末を取り出す。

映し出された映像には、高円寺周辺に有毒ガスが漏洩し完全封鎖されたと速報で流れていた。

もちろんこれは誤報であり、桃太郎機関の作戦の内である。


「さらに厄介なことがもう1つ。血液で鬼かどうか判別できるもんを桃が開発しやがった。

 有毒ガスに害されてないかって名目で検査されちまうから、隔離地域外に逃げたくても逃げれねぇんだよ」

「取り残された鬼は100人弱!優先すべきは鬼を見つけて避難させること!」

「避難って言っても、包囲されてるのにどうやって?」

「この地下通路はいくつか隣の区に避難できる道があるんだよ」

「鬼の避難ともう1つ!やることがある!杉並区の桃の隊長を討つ!

 杉並区での決定権は杉並の隊長が持ってる!隊長を討ち取れば決定権を失い、作戦は終了し包囲も解かれる!」

「杉並の隊長ってどんな奴?」

「ん〜ぶっちゃけあんま表に出ないんすよね」


今までこれほど大規模な争いはなかった。何故急にやる気を出して来たのか…

花魁坂に答えを返す朽森は、そう言って話を締めくくった。


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薄暗い部屋で1人掛けのソファに座る桃太郎機関の隊長格。

目の前のローテーブルには、銀行等で見かけるような金を数える機械がひたすら動き続けていた。


「隊長…無陀野一行が杉並に入りました」

「そうかぁ。花魁坂、真澄にはそれぞれ5千万…無陀野には1億…鬼神の子には3億…

 全員殺せば、合わせて5億の特別報酬が本部から受け取れる。あとあの生け捕り命令が出てた…名前なんだっけ?」

「木下スズ、ですか?」

「あーそうそう。そいつも捕まえときたいんだよね」

「命令は取り下げられたのでは…」

「でも俺らにとって役に立つ力があんだろ?欲しい奴に高く売れる可能性がある。ドカンと稼ごうじゃねぇの」


札束を持ちながらそう言って笑みを見せるのは、桃太郎機関15部隊(杉並)の隊長・桃際右京であった。

そして彼のいる部屋へ向かう2人の桃太郎。


「まさか俺らが応援要請で出向くとはなぁ。すでに壊滅状態だろ?楽しめんのか?」

「ミョリンパ先生の占いだと、応じるが吉ってあるから大丈夫さ」


練馬の桃華月詠と桃角桜介もまた、高円寺の戦いへと参戦する様子。

因縁の対決が再び始まろうとしていた…



to be continued...



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