打ち合わせが続く杉並鬼機関の会議室。

一旦全員が現状を把握したところで、淀川が少し声を落として新たな話題を投げかける。

次の話題は…

鬼機関の中にいると思われる裏切り者についてだった。





第67話 疑念 ー前ー





3日前桃に襲撃された際、人手不足のために急遽出向くことになった淀川。

相手は彼の能力だけでなく、先に現場に入っていた印南・猫咲の力も把握していて…

それ故に不意打ちを喰らい、非常勤コンビは援護部隊のお世話になることになったのだ。


「俺らの能力知ってる奴は何人かいるが、効果時間・条件・発動時の特徴…全部知ってた。鬼側から情報が漏れたとしか考えられねぇ」

「…あの!」

「ん?どうした?」

「私、皆さんの能力をノートに書き留めていて…たぶん、容疑者の筆頭だと思うんですけど…ここにいて大丈夫でしょうか…」


淀川に促され言葉を発したスズは、緊張した面持ちで答えを待つ。

大人組の先輩トリオは互いにチラッと視線を交わすと、それぞれ反応を見せた。

安心したような表情の花魁坂、同期からの視線に静かに頷きを返す無陀野。

そして2人の反応を満足そうに見ていた淀川が、少女へ答えを返した。


「…今の発言でお前はシロだ」

「えっ」

「確かにお前は俺らの能力を一番把握してる。無陀野の秘書っていう、機密情報を知るには絶好の位置にもいるしな。疑われる要素は揃ってる」

「それならクロ、ですよね…?」

「もしスズが本当に内通者なら、今のこの話題は絶対に聞いておきたいはずだ。俺たちの調べがどこまで進んでるかを確認するチャンスだからな」

「でも話が始まってすぐ、スズはそれを遮った。だからシロの可能性が高い、ってわけ!」


無陀野と花魁坂の言葉に、スズは安堵の表情を見せる。

が、まだ一抹の不安があり、言葉を続けた。


「で、でも!そう考えるのを見越して…とか」

「俺はスズがそんな器用なことできるとは思えないけどな〜ダノッチとまっすーはどう思う?」

「俺もそう思う。お前は嘘が下手だし、すぐ顔に出るだろ」

「同感だな。そもそも疑ってる奴に何回も応援要請出したりしねぇよ。…お前にはいてもらわなきゃ困る」


無陀野たちからの愛情溢れる言葉に、スズにいつもの笑顔が戻った。

それを見て、大人組もまた表情を緩める。


「スズさんの疑いは晴れたとして…目星はついてるんですか?」

「正直全く。各自気をつけることしかできないのが現状だ」

「気をつけるったって…」

「まぁ考えたって始まらねぇ!改めてやることは鬼の救助!桃の隊長討伐!この2つだ!」

「四季とスズ以外は、真澄たちと共に救助に行け。俺は討伐の方に回る。スズもこっちだ」

「分かりました!」

「四季君はどこに行くんですか?」

「四季君は今不調だからね。僕の所で負傷者の治療の手伝いをしてもらうよ」

「作戦決行は0時頃!それまで各自準備!ガキどもは寝ろ!深夜行動だから寝ねぇと体に毒だ!」

「「「(優ー!)」」」


百鬼の母を思わせるような発言で、会議は一旦終了した。

会議室を出た面々は、それぞれ割り当てられた部屋に向かう。

借りたお金を返すために女性からお金を借り、時間まで昨日とは違う女性のところに行こうとする朽森は、作戦前とは思えないほどいつも通りだった。

スズも同期たちと会話しながら通路を進み、自分用の部屋へと辿り着く。

だが少し頭を整理しようとノートを開いた途端、辺りにけたたましい音が鳴り響いた。



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