突如鳴り響いた警告音。
慌ててドアを開けて廊下に出れば、他のメンバーも続々と顔を見せ始めた。
同じタイミングで出てきた一ノ瀬と共に、スズは無陀野たちが集まっている場所へと向かう。
「敵襲!?どどどどどうする!?帰る?」
「ロクロ君、落ち着いて…!」
「侵入者かな?まぁ奥まで来れないって…」
「真澄隊長!」
「どうしたぁ?」
「大勢の桃が迷うことなくこっちに向かってます!」
「どうゆうことだ?」
「わかりません…ただ道を塞いでる時間がありません」
「(誰かが地下の情報を流したか?にしたって迷わず来るのは難しいはずだ…)」
「戦闘に備えろ。四季とスズは部屋にいろ」
「はい…」
「いや…!俺もやる!」
「四季…気をつけてね。無理はしないで…!」
「うん、ありがと!」
スズからの優しい言葉に、一ノ瀬は笑顔を見せた。
その間に淀川・並木度の練馬コンビが相手の状況を探り、隊員たちに指示を出す。
次の瞬間には、通路の向こうから大勢の桃の足音が聞こえてきた。
「あの馬鹿チンコ、女の所で寝てんな!」
「無陀野ぉ、ここはお前らに任せるぞ」
「あぁ」
「無陀野先輩!スズの力を借りてぇんだが!」
「えっ!」「内容による」
「うちの馬鹿がまだ来てない。それを連れて来て欲しい!」
「…いけるか?」
「はい!見つからないようにだけ気をつけます!」
「スズ!真澄先輩の力使え!持ってんだろ?」
「あ、そっか!」
「ここから1区画以内にある部屋片っ端から開けていい!俺が許可する!
中に人がいても、スズの姿は見えてねぇから堂々と行け!悪いが、よろしく頼む!」
「らじゃ!」
会話が終わると同時に、スズはペンダントトップに触れて淀川の血を発動させる。
スーッと消えていく彼女を見送った無陀野と百鬼は、向かって来る桃に対して戦闘態勢に入った。
------
----
--
百鬼からの指示を受け、言われた通り片っ端から部屋を開けていくスズ。
そのうちのいくつかには人がおり、驚く相手に対して心の中で謝罪をしながら任務を進めて行った。
能力の制限時間ギリギリで辿り着いた1つの部屋。
勢いよく開けると、驚いた女性の声に続いて、気だるげな男性の声が聞こえてきた。
「キャッ…!」
「どしたの〜?」
「(紫苑先輩の声だ!)」
当たりを引いて喜んだのも束の間、目の前に現れた上半身裸の朽森にスズは危うく声を出しそうになる。
何とか堪えて室内を見回し、男物と思われる服をかき集めると、朽森の手を引いて外へ連れ出した。
そして出たタイミングで、淀川の能力はタイムリミットを迎える。
「やっぱスズだったか〜俺の服が消えてくから何事かと思った」
「すみません!大我先輩に、連れてくるよう頼まれまして…!」
「あれ、何かあったの?」
「桃が大勢押し寄せてるんです…!と、とりあえず上着だけでも着て下さい!」
「はいは〜い」
スズから上着を受け取りサッと羽織ると、朽森は慌てることなく通路を進む。
残りの服を抱えたスズもまた、焦る気持ちを隠しながら後に続くのだった。
2人が到着した時、場の盛り上がりは最高潮であり、皆が皆桃を相手に立ち回っていた。
「やばぁ…俺相当出遅れた感じ?」
「はい…もう10分以上は経ってますから…」
「あのボケやっと来やがった!スズ、ありがとな!」
「いえ!」
「大我めっちゃ怒ってんじゃん。ここは少しやる気出すかぁ。スズ、俺の後ろにいてね」
後ろを振り返りながら笑顔でそう言うと、朽森は指先を噛んで血を解放した。
彼の血蝕解放である"聖人廃業"は、教科書の一部を再現する力がある。
「水魅射」
「(うわ…!本当にスイミーの話みたい!)」
血でできた小さな魚が集まり、大魚の形を成す。
そしてそのまま桃が集まっている場所へと向かって行き、打撃のように相手を貫くのだった。
その攻撃力は、隊長を務めるだけの強さを持っていた。
「おっせぇんだよ!」
「ごめーん、エッチしてたー」
「史上一番最低な遅刻の理由だな。そんなのスズちゃんに聞かせないでよね」
「一気に畳みかけるぞぉ!紫苑、スズのこと守れよ!」
「任して〜まだまだやるよ〜」
朽森が加わったことで、戦況は一気に鬼側が有利になる。
それから30分も経たないうちに桃は全滅し、場は再び落ち着きを取り戻した。
to be continued...
- 162 -
*前次#
ページ:
第1章 目次へ
第2章 目次へ
第3章 目次へ
第4章 目次へ
第5章 目次へ
第6章 目次へ
短編 目次へ
章選択画面へ
home