地下通路を進むこと数十分。
スズたちはようやく目的の出口から外へ出て、夜の高円寺へと降り立った。
深夜のため辺りに人気はなく、6人の足音だけが響いている。
だが一行がとある路地に入った時、その静寂が突然破られた。
猫咲のポケットに入っていた連絡用のスマホが震えたのだ。
第70話 暗殺 / 開
"あぁ了解"
相手と二言三言やり取りした猫咲は、そう言ってスマホを切った。
「拠点がまた襲われたらしい」
「えっ!?…あ、すみません」
猫咲からの報告に驚き、思わず大きな声が出てしまったスズは慌てて口を押える。
そんな彼女を安心させるように印南がポンポンと頭を撫でていると、同じく現場に出ている隊員から連絡が入る。
『こっちの班戻りますか?』
「待てよ!あそこにも俺らの部下はいる!生半可な訓練させてねぇぞ!」
『なら移動中の護衛やります!』
「護衛?どういう意味だ!」
『え、だって援護部隊の方は戻りますよね?ケガ人出てるだろうし…』
隊員のその発言に、5人の視線は1人の少女へと向けられた。
突然話題の中心に上がったスズは、動揺して目をキョロキョロさせる。
静かに彼女の前まで来た無陀野は、"どうする?"と優しく問いかけた。
「戻るか残るか…スズの判断に任せる」
「戻るなら俺が護衛につくよ〜」
「紫苑は黙ってろ!今スズが考えてんだから!」
「決められそうか?」
「……残ります。確かにケガ人は新たに出たかもしれないけど、向こうには京夜先生がいます。
先生がいれば、誰かが死ぬなんてことは絶対にないです。師匠を信じてます!
だから私は…ここにいる皆さんを含め、外に出てる人たちを全力で守ります」
「ん、分かった。大我、そういうことだ」
「了解!」
チーム最年少の男前発言に、先輩4人は揃って笑みを見せる。
そうしてやり取りがひと段落すると、6人は再び足を進めるのだった。
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杉並区の隊長・桃際右京がいると思われる桃太郎機関本部。
その向かいのビルの屋上に無陀野たちが顔を揃えていた。
手すりから少し顔を出して緊張気味に本部の方を伺うスズに対し、大人組は驚くほどいつも通りだった。
「(桃の数が尋常じゃないんですけど…ザ・敵地!って感じ)」
「スズ、緊張してんだろ?」
「しますよ…あんなに大勢の桃見たの初めてですし。波久礼先輩は落ち着いてますね」
「まぁな。あのぐらいは想定内」
「大丈夫!スズの実力なら、そう簡単にはやられない!ゲホッ」
「そうだ!体術鍛えられてんだろ?自信持ってけ!」
「ありがとうございます!」
「無陀野先輩が直々に稽古つけたんすか?」
「あぁ。お前たちにも引けを取らないぐらいには仕上がってる」
「ちょっと先生!それは言い過ぎです…!」
スズを中心に会話が弾む様子は、とてもこれから敵の本拠地に乗り込むとは思えないほど和やかだった。
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