鬼の血は、血液の形や強度を自由に変えることができる。

頭でイメージしたものが神経だけでなく血管にも伝わり、それが最終的に傷口から出た血液に流れ込み形を造るのだ。

その鬼が何を造り出すのかは、各々の脳内にあるものがベースとなる。

トラウマが反映される屏風ヶ浦(もの)…

趣味嗜好が反映される一ノ瀬(もの)…

経験が反映される皇后崎(もの)…

そうして独自の武器を血液で造り出すことを、いつからか"血触解放"と呼ぶようになった。


「これで戦える!」

「行けー!四季ー!!」

「おう!…こっちだ。歯ぁ喰いしばれ!」


巨人の攻撃を避けた一ノ瀬は、そう言うと大型の銃から強烈な攻撃を放った。

放たれた弾が一撃で巨人の体を貫くと、それと同時に屏風ヶ浦の体も限界を迎える。

巨人を倒すだけでなく、天候までも変える程の威力に、撃った本人も驚きの表情だ。


「す…すげぇ…」

「え、雨…?って、それよりも帆稀…!」

「(なんだ今の威力は…あの巨人どころか…天候を変えやがった…!)」

「(確かに威力は文句ない…が…)」

「屏風ヶ浦、大丈夫か!?」


場が落ち着くとすぐに、倒れ込んでいる屏風ヶ浦の元へ駆け寄る一ノ瀬。

だがその彼自身の体も、さっきまでとは勝手が違っていた。

走り始めた途端に倒れた一ノ瀬の前に、ついに無陀野が姿を見せる。


「体が…動かねぇ…」

「脱力感で体が動かないだろ」

「!」

「あれだけ高濃度の血を撃ち込んだから、血が足りないんだろ」

「(くそ…ここで来るのかよ…)」

「無理するな。目も霞んでいるだろ」

「全然、余裕!」


無理やり立ち上がった一ノ瀬だったが、その目は完全におかしな状態になっていた。

血をコントロールできないことは、最悪の場合命を落とすことにも繋がる。

一ノ瀬にとって、この課題は早急に解決する必要があるだろう。


「そ…そうだ…屏風ヶ浦を…見てくれよ…スズが、血ぃ…使い…過ぎてるって…言ってたから…

 俺は…あとでいいか…ら…屏風ヶ浦を…手当て…して…くれ…」

「(お前も十分瀕死だろうに、人の心配か)もうスズが診てる。安心し…」


無陀野の言葉を遮るように攻撃を仕掛けてきたのは、しばらく大人しくしていた皇后崎だった。

目の前の男を殺せば、即卒業で望む部隊へ…それを実現するための当然の行動というわけだ。


「そんな奴らどうでもいいだろ。時間がもったいねぇ」

「応急処置をしないと危険だったら?」

「俺には関係ない」

「関係ない…か。生徒を分別するつもりはないが…嫌いだよ、お前みたいなタイプは」


仕込み傘を開きながらそう言った無陀野は、いつもとは違う冷たい目をしていた。



to be continued...



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