朽森と共にスズが地上へと戻っている頃…

遊摺部の今後について無陀野と会話していた淀川は、通話を切り夜の街を見下ろしていた。

生徒たちは各自待機場所へ向かったため、今屋上には彼と並木度の2人だけだった。


「ったく遊摺部も尋問かけて情報抜いて殺しちまえばいいのによぉ」

「大事な人だからじゃないですか?大事な人だから、理由があるって希望を持ちたいんですよ」

「は!お優しいこったなぁ。俺は仕事柄、俯瞰でしか物事を見ない。他人に寄り添わせる心もねぇし、できもしねぇ」

「何言ってるんですか。だから僕がいるんじゃないですか。それに…スズちゃんのことはどうなんですか?」

「!」

「俯瞰で見てるなら、彼女が誰とどうなろうと関係ないのでは?」

「…俺だって最初はそう思ってたよ。妹みたいな存在だって。

 でもあいつと話したり、治療受けたりするたびに…自分の中で無視できねぇぐらい、存在がデカくなりやがる。

 どんな手を使っても護ってやりてぇし、絶対に失いたくねぇ。スズには…ずっと笑ってて欲しい」

「…スズちゃんのこと話してる時の隊長には、寄り添う心があるように見えますけど?」

「うるせぇ…生意気言ってんじゃねぇよ。無駄話は終わりだ。俺らも行くぞ」

「いつでも」


素直じゃない隊長殿を微笑ましく思いながら、並木度は静かに言葉を返す。

そうして2人は夜の街へと身を投じるのだった。


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時を同じくして、別のビルの屋上には3人の桃太郎の姿があった。

先の戦闘でボロボロ状態の月詠と桜介、そしてもう1人は…


「旋律」

「おぉ!どうした2人揃って!」

「話がある」

「?」


キョトンとする同期へ、練馬コンビは自分達の現状を話し始める。

右京に部下を人質に取られ、命令を聞かされていることを…


「人質!?何だそれ!」

「やっぱ知らねぇか。だと思ったぜ」

「当たりめぇだろ!」

「右京さんのところにいて気になることとかなかった?」

「ん〜…ある!銀も国領も他の隊員も全員…右京さんに忠誠心が半端ねぇんだよな。尊敬とかのレベルじゃなくて、"崇拝"・"絶対君主"って感じ」

「だからって右京のために自爆するか?」

「右京さんの能力、身体強化だもんね。じゃあ能力でってわけじゃないか」

「う〜ん…まぁ考えても仕方ねぇ!俺が右京さんのところ行って話つけてくるわ。お前ら人質で動けねぇもんな」

「大丈夫かよ?」

「大丈夫だろ?間違ってんのはどう考えても右京さんだからな」

「真っ直ぐだねぇ」

「さっさと辞めて、ウチ来いっつーの」

「はは!また伝説作るか!」


月明りが降り注ぐ中、同期3人は笑顔を向け合う。

その光景はとても尊く、一時高円寺の戦乱を忘れさせた。

と、思い出したように旋律が言葉を発する。


「あっ。そういやスズに会ったぜ?」

「は?どこでだよ」

「華厳の滝の研究所で」

「あぁ!君が前にいたとこか」

「そっ。…あいつ、いい奴だな。鬼とか桃とか関係なく目の前の奴の治療してさ、自分のケガなんか後回しなんだぜ?

 援護部隊の奴を強ぇなって思ったの初めてだったよ。あーいう筋の通った奴は俺も好きだ」

「おっ、ライバル登場じゃん桜介〜」

「望むところだよ。お前が相手でも譲る気ねぇからな、旋律」

「バーカ、俺のはそういう意味じゃねぇよ。人として好きなだけ……今はな」


最後の呟きは、2人には届いていないようだった。

彼の気持ちが変わるかどうか…ゆっくりと見守ることにしよう。



to be continued...



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