2人の護衛を伴い、スズはようやく救護所へ到着する。

先輩たちにお礼を伝え別れると、早速彼女を求めてあちこちから声がかかった。

また同じようにホワイトボードで状況を整理しながら、重症度別に対応していくスズ。

最小限の休憩を入れながら動き続けること1時間…

治療が進むのに合わせて、場は徐々に落ち着いていく。

だがそこへ良くない知らせが飛び込んで来た。


「おい!ここに桃が何人か向かってるぞ!」

「クソッ…どこで嗅ぎつけてくんだよ!」

「重症な方や小さい子優先で移動しましょう!余裕ある人は周りの方に手貸してあげてください!」


スズの言葉にそれぞれが返事をし、助け合いながら移動を開始した。

自分は最終確認をしてから行くと伝え、スズは他の鬼たちを先に避難させていく。

的確な指示と連携の取れた動きで、15分もしないうちに移動はほぼ完了しつつあった。

すっかり静かになった救護所を、逃げ遅れた人や動けない人がいないか確認していたその時…

入口をぶち破るような大きな音が響き渡る。

咄嗟に物影に身を潜めたスズは、足音から人数を割り出そうとする。

正確なところは分からないが、3人以上いることは確実だった。

しかもその全員が、あの少し様子のおかしい桃太郎なのだ。


「(1人でも無理だったのに、それ以上なんて絶対無理…!)」


一度襲われたからこそ、相手の強さは十分知っている。

このままここでやり過ごそうと小さくなっていたスズだったが、彼らの口から驚くべき内容が発せられた。


「本当にここなのか?」

「あぁ。ここで救護活動をしている木下スズを目撃したという情報が入ってる」

「ということはどこかに隠れていると…」

「(嘘でしょ…私のこと捜してる!?)」


となるとそう簡単には出て行かないだろう。

扉という扉を全て開けるか、片っ端から破壊していくか…何にしても強硬手段をとることは容易に想像できた。

見つかった後のことを考えると、スズは自分の体が震えてくるのを感じる。

この状況での最善策は助けを呼ぶことだ。だが援護部隊の端くれとして、それをするには抵抗があった。

こうしてる間にも、桃の足音は少しずつ彼女の元へ近づいていた。


「(どうしよう…逃げるか、助けを呼ぶか…決めないと…)」


恐怖と不安で押しつぶされそうになるスズの頭に、ある人物から言ってもらった言葉が浮かぶ。

"何かあった時、誰かに頼るのを躊躇わないこと"

彼はそう言って穏やかな表情を向けてくれていた。

1つ大きく息を吐いたスズは、震える手で耳の通信装置を操作する。

相手はすぐに応答し、安心する声で彼女の名前を呼んだ。


『スズ?どうした?』

「無人先生……助けて、ください」



to be continued...



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