雷殿の案内で観光名所を巡る一行。
お城を見たり、風情のある街並みを歩いたり、東京とは全く違う景色を楽しんだり…
多少の制限はあるものの、天気の良さも手伝って十分に楽しいひと時を過ごしていた。
「すみませーん。山賊焼き食べれるお店知りません?」
「すまないが地元民じゃない」
「「!!」」
「(おぉ〜無人先生ってやっぱモテるんだ…!)」
「…ん?何だ、スズ」
「いえ、何でも!」
自分の顔が整っているという自覚がない担任を微笑ましく思いながら、足を進めるスズなのであった。
第88話 松本市 ー後ー
しばらく歩いているうちに、様々な店が立ち並ぶ商店街へやってきた5人。
先に到着していた一ノ瀬たちは、小腹が空いてきたこともあり食べ物屋の前でウロウロしていた。
「たこ焼き!皇后崎も食うか?」
「俺はいらない」
「あっそ。…あ、スズ来た!スズ〜たこ焼き食う〜?」
「う〜ん…どっちかって言うと甘いものが食べたいかなぁ」
「なら、あっちにジェラートってアイス屋あるぞ!」
「え、本当に!?四季、私そっち行ってくる!」
「了解!俺らこの辺にいっから!」
「分かった!」
食後のデザートということで、足取りも軽くアイス屋へ向かうスズ。
それから少しして、"ちょっとトイレ"と言って静かにその場を後にする男がいた。
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アイス屋についてみれば、そこにはまだケースの前で迷っている想い人の姿があった。
思わず漏れる笑みを何とか隠し、普通を装って声をかける。
「まだ迷ってんのかよ」
「迅!あ、そっか。迅も甘いもの好きだもんね!」
「お前ほどじゃねぇけどな」
「同じぐらいでしょ〜!」
そう言って笑い合う2人は、並んでケースの中を覗き込む。
だがジェラートを選んでいるのはスズだけで、皇后崎はといえば、目をキラキラさせている彼女にすっかり視線を奪われていた。
「迅、どれにするか決めた?」
「! …あ、いや、まだ。お前こそまだ決まんねぇのかよ」
「だってどれも美味しそうなんだもん」
「どれで迷ってんだ?」
「これとこれ」
「ふ〜ん……じゃあこれとこれ1つずつお願いします」
「えっ!」
「そうすりゃどっちも食えんだろ」
「いいの…?」
「おぅ。俺はどれでも良かったし」
「ありがとう!…あ、お金は自分で「いい」
「でも…」
「こういう時は黙って奢られてればいいんだよ」
「あ、うん…!ありがとう!」
微笑みながらスズの頭をポンと撫でて、皇后崎は会計を済ませる。
そして受け取ったジェラートを2つ手に持ち、揃ってイートインスペースへと向かうのだった。
「…今の2人、高校生かな?」
「ぽいよね〜青春って感じだったもん!」
「分かる…!男の子の方さ、絶対好きだよね」
「間違いない!もう好き好きオーラが隠し切れてなかった!」
「そうそう!アイスなんか全然見てないから、女の子に聞かれた時焦ってたしね」
「可愛かったね〜あれ!…告白したと思う?」
「いや、あの感じだとまだでしょ〜女の子の方はたぶん気づいてないよ」
「え、あんなにオーラ出してんのに!?」
「そういうもんだって。いいな〜甘酸っぱくて」
「本当羨ましいよ」
スズと皇后崎を送り出した店員2人は、小声ながら楽しそうに言葉を交わす。
もちろん当事者たちは、そんなこと知る由もないのだが。
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