一旦外へ出た4人は、早速これからの動きを話し合う。

無差別に人を殺めている桃太郎を、これ以上自由にはさせておけない。


「どうやって桃と接触すんだ?」

「今、桃は動かないかもしれないな」

「どうしてですか?」

「一般人の処刑は本部の耳に入る。今は鬼の討伐より、その隠蔽に追われる可能性がある。そうなると数日は動かない」

「そんな待てねぇよ」

「なら隠蔽より優先する事案をこちらから起こすしかない」

「…」

「皇后崎、お前ならわかるんじゃないか?」

「…1つ方法がある。四季、お前を使う」


そうして動き出した同室コンビを見つめながら、スズもまた自分にできることを始めようとしていた。

無陀野に一言断りを入れてから場を外し、彼女はとある人物に電話をかける。

相手は3コールを待たずに電話口に出た。


『お前が電話してくるなんて珍しいな。どうした?』

「あの、真澄さんに1つお願いがあって…今少しお時間ありますか?」

『あぁ』


松本で急遽別の任務が入ったこと。

恐らく戦いは避けられず、必然的に救護活動も必要になるだろうということ。

そのために周辺の地図や地下通路などの情報が欲しいが、松本の鬼機関が現状機能していないこと。

そういったことを簡潔に伝え、助けてもらえないかとスズは淀川を頼ったのだった。


『今パソコンでデータベース見てっけど、確かにそこの鬼機関は高齢化が進んでんな』

「そうなんです…だから最新の情報をどこまで持ってるか分からなくて…」

『分かった、5分で調べる。待てそうか?』

「もちろんです!ありがとうございます…!すみません、お忙しいのに…」

『バーカ、んなこと気にしてんじゃねぇよ。…前に言ったろ?何かあったら迷わずすぐ頼れって』

「真澄さん…!」

『美味い飯期待してるからな』

「! はい!お店探しておきます!…あ、すみません。一旦電話切りますね…!」

『…別に切らなくていい。スズの声聞いてた方が作業進む』

「え、本当ですか…?」

『本当だよ。傍にいるみてぇで落ち着くしな』


とても優しい淀川の声で、なんだか急に照れ臭くなるスズ。

耳を澄ませば、微かにキーボードを叩く音が聞こえた。

スマホを肩に挟みながらデスクワークをしている姿を想像し、スズは自分の心臓がドキドキしているのを感じた。


「(今の真澄さん、絶対カッコいいだろうな…!)」

『あ、そういやスズ』

「は、はい!」

『さっきの飯の話、分かってると思うけど…』

「ん?」

『2人で、だからな』

「! ま、真澄さんは、それでいいんですか…?」

『スズとの時間邪魔されたくねぇからな。夜までガッツリ付き合えよ?』

「夜まで…!なっ、何するんですか…?」

『言っていいのか?聞いたらお前、任務どころじゃなくなんぞ』

「…え、えっちな、ことするんですか…?」

『(本当にこいつは…)していいならな。俺はいつでも準備できてっから』

「ダ、ダメです!ダメですよ!そ、そんな破廉恥なことは…!」

『ふっ、じゃあしねぇよ。…でもまぁそれもスズ次第か』

「へっ?私?」

『お前があんま無防備でいたら…キスぐらいしちまうかもな』

「なっ…!」

『っし。今、スズのスマホにデータ送った』


Enterキーを押すパンッという乾いた音が聞こえると同時に、耳に当てていたスマホが震える。

かかった時間は宣言通りキッチリ5分。

スズが動揺しまくっていた間に、淀川はしっかりと仕事を終えていた。


「え、もう終わったんですか!?」

『隊長なめんな。中身確認して、不足があればまた連絡してこい』

「はい!本当にありがとうございました!」

『おぅ。ケガすんなよ?』

「しません!ボロボロの状態じゃ、真澄さんとご飯行けませんから!」

『(あー…抱き潰してぇ…)そうだな。キスもできなくなっちまうもんな』

「真澄さん!!」

『ふっ。もう電話切んぞ。気をつけて行ってこい』

「はい!」


通話を終えメールを確認すれば、そこには望んだデータがキレイに整理されていた。

完璧な仕事っぷりに、スズは改めて彼の凄さを思い知るのだった。


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「あれ?隊長、何かいいことありました?」

「あ?なんだよ急に」

「いや、顔色がいつもより明るいですし、なんていうかこう…雰囲気が柔らかい気がして」

「…別に何もねぇわ」

「スズちゃんってすごいですね〜練馬に来てくれれば、隊長もいつも元気でいられますね!」

「…お前、性格悪ぃな」

「真澄隊長ほどじゃないですよ」


練馬のとある一室で、そんなやり取りがあったことをスズは知る由もない。



to be continued...



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