鬼と桃太郎の存在が公表され日本は大混乱。
国民への説明と隠していたこと、その後の対応の悪さの結果、総理は退任となった。
後任は就任後すぐに法律の再構築を行い、鬼が出現した際直ちに避難することが義務付けられた。
さらに鬼かどうか判別するための採血が本格的に導入され、会社・学校の健康診断時に採血検査が必須となった。
そして桃太郎が鬼と戦う際、逃げ遅れた一般人を巻き込んだり施設を破壊することになっても不問となる"鬼殺優先法"が可決されたのだった。
第99話 鬼救出作戦�@
桃太郎側は堂々と鬼退治ができるようになったことで士気が上がり、桃喰十兵衛を筆頭に大いに盛り上がっていた。
そしてそんな桃機関に新たな風が吹き込んでくる。
学生時代から数多の戦績を残し、飛び級で卒業したという逸材たち…
桃条春、桃翠夏騎、桃橘秋鏡、桃柊冬呉。
周りから"最凶の世代"と呼ばれる彼らがスズや一ノ瀬と相対する日も、そう遠くはない。
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一方羅刹メンバーはといえば…
夕暮れ時にも関わらず、花魁坂も含めた全員がビルの屋上に集合していた。
鬼殺優先法が制定されてからというもの、鬼であることを隠しひっそりと生きてきた者たちが次々と炙り出されていた。
そうして発見された鬼は、街中だろうが屋内だろうが関係なく桃に狙われ殺される。
スズたちがビルから見下ろす豊洲の市街地でも、同じ状況が広がっていた。
「血蝕解放・"汝、何処へ"……周辺の鬼の位置情報掴みました」
「今回俺たちの任務は、豊洲周辺に住む鬼の救助だ。鬼の存在が公表された今、桃の襲撃は容赦がない」
「やりにくいな」
「皇后崎・矢颪、四季・屏風ヶ浦、漣・手術岾でそれぞれペアになって鬼の救助にあたれ。逃走経路を送る。状況に応じて使え」
「ペアになる意味は?」
「1人だと、桃と遭遇した時鬼を守りながら逃げなきゃならない」
「ペアなら1人が戦闘で足止め、もう1人が鬼を逃がせるでしょ?」
「なるほどー」
「遊摺部は移動しながら索敵し、鬼を捜せ」
「はい!」
「お前の役割は重要だ。各ペアと常に距離を保ち、情報を送れ」
「挽回できるよう頑張ります!」
「最後にスズ。お前はいつも通り現場に出てトリアージしながら、ケガ人の処置を頼む」
「重症度高い人はすぐ俺の方に回していいからね」
「わかりました!…あの、今回私だけ制服じゃないのは理由がありますか?」
スズの言う通り、今回彼女はいつもの制服ではなく、医療従事者が着るようなスクラブ姿なのだ。
ここへ来る前に花魁坂から渡され着用したのだが、着慣れなくて終始ソワソワしていた。
「今回スズには鬼はもちろんだが、戦いに巻き込まれて負傷した一般人の治療も任せることになる。
その時にこちらが鬼と知られたら何かと面倒だし、最悪の場合攻撃を加えられる可能性もある」
「街を走り回る四季君たちは目立つでしょ?その子たちと同じ服だ〜ってなったら、鬼ってバレる可能性がグッと上がる。
だから今回はスクラブにして、傍目にはスズが一般人に見えるようにしようってダノッチと決めたんだ」
「そうだったんですね…!」
「あぁ。そういうわけだから、向こうから何か言ってこない限り、今日は自分が一般人だというスタンスで動くように」
「はい!いろいろ考えてくださってありがとうございます!」
「ん。…いいか。スズの仕事を増やさないためにも、一般人は巻き込むな。以上」
「「「了解!」」」
元気よく返事をした子供組は、スズを残し街へと飛び出して行った。
明るい笑顔で同期を見送った彼女を真ん中にして、大人組は言葉を交わす。
彼らも、自分たちに与えられた役割のため動き出す時間だ。
「俺は桃を排除し、戦力を削る」
「んじゃ、俺は負傷者の治療にあたるよースズと一緒に。ねっ」
「はい!」
「ダノッチも無理は禁物」
「頭に入れておく。…でもまぁそこまで心配しなくてもいいだろ。俺の命はお前と…スズに預けてあるからな」
「ふふっ、そうだったね」
「任せてください!無人先生がケガした時は、どこにいてもすぐ駆けつけます!」
「あぁ、頼むな」
「…けどやっぱり……ケガ、しないでくださいね」
「! わかった。約束する」
穏やかな表情でそう言った無陀野は、スズの頭を優しく撫でてから屋上を後にした。
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