獏速通信で京都の様子を聞いたスズは、その足ですぐに現地へと向かった。
船と電車を乗り継ぐこと数時間…
彼女が久しぶりに京都の地を踏んだのは、辺りがすっかり暗くなり、人通りもまばらになるような時間だった。
第11話 ヤバい奴
慣れたように京都の街をひた走るスズは、まず実家へと向かった。
無陀野と行動を共にしているため忘れられがちだが、彼女は生まれも育ちも京都出身なのだ。
途中何人かの知り合いとも顔を合わせ、その無事を確認する。
そうして辿り着いた実家には、京都を出た日から何ら変わりのない元気な姿の両親がいた。
だが久々の帰省と再会を喜ぶのも束の間、スズはすぐに京都支部へと向かう。
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地下にある京都支部へと続く階段をダッシュで降り、バンッと勢いよく扉を開ける。
その音に反応して出てきた看護師達は、懐かしい顔に喜びの表情を見せた。
「スズちゃん!来てくれたのね!」
「待ってたー!すぐ白衣取って来るわ!」
「はい!ありがとうございます!」
「先生ー!スズちゃん来てくれましたよー!」
1人の看護師が奥の方へ向かって大きな声で呼びかければ、"先生"と呼ばれた人物が部屋から飛び出してくる。
そしてスズの顔を見るや否や、ものすごい勢いで走ってきてガバッと抱きついた。
「スズ!」
「きょ、京夜先生…!」
「久しぶり!元気にしてた?ダノッチにいじめられてない?」
「ふふっ。大丈夫です!元気にやってます!先生も元気そうで安心しました」
スズが"先生"と呼ぶ人物は、無陀野の他にもう1人いる。
それが、今彼女の目の前にいる白衣を着た一見チャラそうな人物…花魁坂京夜だ。
彼はこの京都支部の援護部隊総隊長であり、また同時にスズの師匠でもある。
2人の付き合いはかれこれ3年ほどで、彼女に医学を教えたのも花魁坂なのだ。
「こんなに早く来てくれると思わなかった!ありがと。すごく助かるよ」
「いえ…!無人先生が、すぐ行けって言ってくれたので。私も両親や先生達のことが心配でしたし、早く来れて良かったです」
「ご両親は?大丈夫だった?」
「はい!全く変わりなかったです」
「そっか〜良かった!」
「先生、いつまでスズちゃんにくっついてるんですか!早く治療に戻ってください!」
「そうですよ!スズちゃん、これ!前使ってた白衣」
「取っといてくれたんですね…!ありがとうございます!」
そうして受け取った白衣を着ると、スズは花魁坂の後を追って負傷者が横たわる部屋へと向かうのだった。
その途中、両親の無事と現状を報告するため、無陀野への連絡も忘れないのがスズのすごいところである。
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