スズが京都支部で働くようになって、早いもので2年が過ぎようとしていた。

戦争中ということで支部には日々たくさんの重傷者が運ばれ、その度にスズと花魁坂は忙しく治療に当たっていた。


「スズちゃーん!次ここの患者さんお願い!」

「はい!すぐ行きます!」

「スズちゃん!その人終わったら、次こっち来てもらえるー!?」

「了解ですー!」


こんな具合に学校が終わりひとたび支部に来れば、ひっきりなしに周りから声がかかるスズ。

能力の特殊さとその一生懸命さで、彼女に対する看護師達からの信頼は日に日に増していった。

そして当然の結果として、スズは名実共に京都支部のNo.2へと成長したのだった。

ではもう1つの役割はと言えば…


「京夜先生〜そろそろ上がろうと思うんで、明日の予定だけご連絡しますね」

「え〜もう帰っちゃうの〜?もうちょっといてよ〜帰り送ってくから〜!」

「何言ってるんですか!今日も忙しかったんですから、先生はゆっくり休まなきゃダメです」

「…平気だもん。……あ、ご飯食べ行く?」

「行きません!明日のために早く寝てください。明日は朝一でリモート会議がありますから忘れずに!」

「は〜い……ねぇ、本当に行かない?」

「ふふっ…じゃあ明日先生が元気だったら、お供させてください!」

「! 絶対ね!美味しいお店見つけたんだ〜!一緒にご飯なんて久しぶりだから楽しみだな〜」


ご機嫌にそう言う花魁坂を微笑ましく見つめるスズは、最後に明日の予定をもう一度念押ししてから家路についた。

このように慣れないながらも、秘書として公私共に師匠の予定を管理し支えているスズ。

そんな彼女が花魁坂と並ぶ運命的な人物と出会うのは、翌日の午後のことだった。


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翌日…

支部内にある食堂にて、向かい合って座るスズと花魁坂。

スズは目の前にあるカツ丼をモグモグ食べているのに対し、一方の花魁坂は運んできたラーメンに手をつけずひたすら下を向いていた。

というのも…スズがあれだけ言ったにも関わらず、花魁坂は寝坊して朝一の会議に遅刻したのだ。

学校終わりで支部に来るなり周りの看護師達からそのことを聞いたスズは、すぐに彼を呼び出し、そして今に至る…


「…あれだけ次の日の予定言いましたよね?ちゃんと早く寝たんですか?」

「……寝まし「嘘言わない!」

「夜更かししました…ごめんなさい」

「今回はお相手の方が許してくれたから良かったものの、怒る方だっているんですからね?」

「…はい」

「…次から気をつけてくださいよ。じゃないと毎朝モーニングコールしますからね」

「えっ!その方がいい!してよ、モーニングコール!」


"社長って感じじゃん!"とテンションが上がりラーメンを食べ始める花魁坂に、スズは苦笑いでため息をついた。

そんな2人の元に、1人の男性が静かに近づいてくる。

そしてスズの隣にある椅子を引くと、彼はゆっくりと腰を下ろした。


「おい、年下にあまり面倒をかけるな」

「あー!ダノッチじゃん!!何でいんの?来るなら連絡してよー!」

「こっちの方で任務があったから寄っただけだ。それよりこいつが…?」

「そっ。うちのNo.2で、俺の秘書の木下スズちゃんで〜す!」

「は、初めまして…!えっと…」

「無陀野だ」

「俺の学生時代の同期でね、今は東京で学校の先生やってんの」

「学校の先生…!」

「お前も大変だな、こいつのお守りさせられて」

「あ、いや、そんな……そうですね。大変です」

「ちょっとスズちゃん!そこは否定するとこでしょ!?」

「素直でいい秘書だな」

「ダノッチまで!」


そんな会話をしながら、しばらく楽しげに話をしていた3人。

とそこへ、焦った様子で数人の看護師達が走ってきた。

慌てている彼女達の話を聞けば、重症の患者が急遽運ばれて来たらしく花魁坂とスズの力が必要とのこと…

無陀野もスズの力が見れるなら一緒に行くと言い出し、3人は揃って急患が運ばれた場所へと向かった。



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