スズが無陀野から電話を受ける数十分前…
スズと一ノ瀬を除いた無陀野組は、各部隊の見学を終え、ホテルへの道を帰っている途中だった。
疲労と空腹から文句を言う生徒もいる中、皇后崎は列の一番後ろを歩く。
そんな彼とすれ違う明るく元気な幼き姉妹。
歩行者の信号は青…当然2人は何の躊躇いもなく横断歩道を渡った。
そこへ居眠り運転のトラックが突っ込んできたのだ。
第22話 自分ルール
"間に合え…!"
そう小さく叫びながら血を解放した皇后崎は、タイヤを傷つけて姉妹からトラックを逸れさせた。
だが出血こそないものの道路に倒れてしまった姉の方を、皇后崎は蒼白な顔で見つめる。
「!」
「血を使ったな。すぐに逃げるぞ、桃が動く」
呆然としている皇后崎にそう告げると、無陀野はスマホ片手にホテルへの道を急いだ。
呼び出しているのは、今この場にいない2人の生徒…まずは何より援護部隊所属の彼女だった。
『もしもし、先生?』
「ハル、今どこにいる?」
『まだ練馬のアジトです』
スズの変わらない声と、一番安全な場所にいることに安堵した無陀野はふーっと小さく息を吐く。
その後軽い状況説明と、これからの指示を出して電話を切った。
休む間もなく今度は一ノ瀬へ連絡を入れ、それが終わる頃、一行はホテルへと到着した。
生徒たちにすぐの出発を促す無陀野は、今度はかかってきた電話に対応する。
「街の防犯カメラは大体桃機関と連携している。血を使うと反応を掴み、桃機関へ情報を送る。すぐに場所を移すぞ。40秒で支度しろ。…はい」
『無陀野さん、状況は把握しています。隠れ家へ案内するので、そちらへ避難してください』
「悪いな」
『いえ。あ、スズちゃんのことですけど…』
「さっき連絡を入れた。まだそっちにいるらしいな」
『えぇ。身の安全は保障しますから、安心してください。僕もすぐ合流します』
「助かる。よろしく頼む」
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無陀野との電話を終えたスズは担任や同期のことを思い、不安そうな表情で辺りをウロウロする。
顔見知りである淀川と並木度がいない今、この広いアジト内で1人というのはどうにも落ち着かないのだ。
誰かに状況を聞くにしても、先程からアジト内が全体的にザワザワしており、とてもそんな雰囲気ではない。
そんな状態が15分程続き、スズはようやく聞き覚えのある声に名前を呼ばれた。
「スズちゃん!」
「馨さん…!」
「ごめんね、1人にしちゃって。不安だったでしょ」
「はい…何か落ち着かなくて。先生たちは…」
「大丈夫、もうすぐここに到着する予定だよ。一緒に迎えに行こう」
並木度の提案に、スズは不安と安堵が入り混じった表情で返事をした。
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