それから頭を切り替えた皇后崎は、再び姉妹のことへ話題を移す。

交渉材料として使われる可能性がある以上、放っておくわけにはいかない。


「まだ疑問はあるけど…妹が危ないかもしれない。けど妹の居場所なんて知らねぇだろ?」

「偵察部隊に頼もうぜ!」

「偵察部隊かぁ…んーそれは厳しいかも」

「だろうな。俺が病院行く時も止めたくらいだ。妹が危ない"かもしれない"なんて曖昧な情報じゃ動かない。どーにか自分たちで捜さないと」

「アホかよ?人捜しとか簡単じゃ…あ!ふっふっふ…おい!四季様と呼べ!」

「なんだよ気持ち悪い」

「いいアイデア浮かんだの?」

「おぅ!見つけられる奴に心当たりがある!」

「何!?誰だ?」

「お巡りさん!」

「死ねボケカス野郎」

「んだとテメェ!」

「ポリに言って動くわけないだろう?本当に頭わりぃな」

「そりゃ普通のポリ公ならな。スズも知ってる奴だぜ!」

「え?……あ、まさか!」


スズと一ノ瀬の頭に浮かんだのは、昨日出会った好青年。

自らの職業を警察だと語った彼は、普通の警察官とは違う雰囲気を纏っていた。

彼なら何かしら力になってくれる…2人はそう信じていた。

連絡先を交換した四季が、早速スマホを操作する。


「四季、名前だけ気をつけてね」

「そうだった!サンキュ。……あ、神門?」

『もしもし、ナツ君?』

「神門にさ、頼みたいことあんだけど…」

『頼み?何?』

「人を捜して欲しくて」

『え?何?聞こえないけど。サイレン鳴ってるけど、どこにいるの?外?』


そうしてしばらく神門とやり取りをする一ノ瀬。

スズと皇后崎に見守られながら会話を進める彼だったが、不意に空を見上げて手を上に向ける。

それは誰が見ても、雨が降っているかを確認する仕草だった。

"何で今、雨のことを気にするんだろう…"

不信に思うスズを他所に、やり取りをは良い方へ進み…


「……捜してくれるって!連絡待ちだ」

「(別に心配するようなことじゃないか…)良かった!ありがとう、四季!」

「おう!皇后崎、四季様ありがとうございますが聞こえんぞー?」

「昔世話になったポリ公か?ツラが犯罪だもんな、お前」

「スズ〜こいつ殺していい〜?」

「ダメで〜す」


スズのその言葉を最後に、辺りは一気に静寂に包まれる。

連絡待ちということで、特段やる事もない。

一ノ瀬はこの状況に、1人頭を抱えるのだった。


「(いや、気まずい…!皇后崎こいつと喋ることなんかねぇよクソ!あぁぁこの沈黙無理ぃいい…スズと2人でコンビニでも行こっかな…)

 あ!さっき聞きそびれたけど、なんであの女の子気にかけるんだ?」

「そういえば、そうだった」

「…」

「俺が助けたのとスズの治療の貸し、これでチャラにしてやっから教えろよ」

「…面白くもねー話だよ。俺にも姉がいる…いや…正確には"いた"…だ。前にも聞いたろ?俺の親父は桃太郎だ。

 その親父が殺した…母も姉も。あいつは家族よりも、桃太郎としての使命を選んだ。どうしようもねぇクソ野郎だ」


"まずはそっから話さねぇといけない話だ"

皇后崎はそう言って、自分のことを静かに話し始めた。



to be continued...



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