ケガの治療を終えたスズと無陀野は、偵察部隊から聞いたビルへ向かうためアジトを出発した。
現場が近づくにつれて辺りが段々と騒がしくなってくる。
人が集まっている方へ進んで行くと、そこには屋上から爆発音が聞こえてくるビルが建っていた。
「随分派手にやってますね…」
「これじゃ隠しようがないな」
「はい…あ、真澄さんはどの辺にいるんでしょう?」
「恐らく同じぐらいの高さのビルだと思うが…」
2人がビルを見上げながらそんな会話をしていると、ひときわ大きな爆発音と共に上階の窓ガラスが吹き飛んだ。
と同時に飛び出してくる2つの影。
1つは白っぽい服を着た長髪の人間だと分かるが、もう1つは様子がおかしい。
かろうじて人の形はしているが、その動きはとても人間とは思えないようなものだった。
「無人先生、あれってもしかして…」
「四季だな。最初の時よりもだいぶ暴走の度合いが激しい」
「あの調子でビルを壊し続けたら、周りの人たちも危ないです…!」
「急ぐぞ。真澄ももう向かってるはずだ」
「はい!」
暴走した四季の攻撃は止まることを知らず、ビルの上階は見事に吹き飛び瓦礫の山と化した。
人混みをかき分けながら、スズと無陀野はトップスピードでビルの内部へと向かった。
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一方その頃、皇后崎はと言うと…
人気のない路地に建つ廃ビル内で、深夜を追い詰めていた。
あの姉妹をはじめ、何の罪もない一般市民を数多く巻き込んだ深夜に対し、皇后崎は怒りを露わにする。
人を人とも思わず、自分の私利私欲のためなら、誰が死のうが苦しもうが関係ない。
そんな彼に少し前の自分が重なる皇后崎。
あの日の無陀野と同じ感情が、彼の口から吐き出される。
「大っ嫌いだよ…!テメェみてぇな奴は…!
お前は生かしておいちゃいけねぇ…鬼にとっても…人にとっても…だから俺が殺す!」
そう言って、狼狽える深夜に詰め寄って行く皇后崎だったが、床の一部を踏んだ瞬間…仕込んでおいた爆弾が爆発した。
室内が煙に包まれる中、深夜はこの隙を狙って逃げようと動き出す。
が、何事もなくスッと横に現われた皇后崎によって彼の首には大きな裂け目ができ、大量の血が噴き出した。
「お前は本当に汚い奴だな。だから想像しやすかった。お前みたいな奴は必ず何か仕組んでるって。
お前は色んな人を巻き込んだ。そして嘲笑った。その結果がこれだ…無様だな。せめて地獄では罪を悔いろ」
血まみれになりながら苦しむ深夜を冷たい目で見下ろしながら、皇后崎はそう告げた。
決着がつき、アジトへ戻ろうと歩き出した彼は、最後にもう一度深夜を振り返る。
「最後に1つ教えといてやるよ。俺たちには、背中を守ってくれる奴がいる。
手足が千切れようが、内臓が破裂しようが、生きてさえいればそいつが治してくれる。
後ろにそういう奴がいることの大切さが分かるか?分かんねぇだろ。だからお前には負ける気がしねぇ」
廃ビルを後にした皇后崎の頭には、あの日スズから言われた言葉が鮮明に思い出されていた。
"いつか皇后崎君が前線に出てボロボロになって帰って来たら、私がすぐ治してあげる!その時には、私のありがたみが痛いほど分かると思うよ?"
言葉だけじゃない。
その時の明るい声も、元気な笑顔も全部がハッキリ焼き付いている。
「……早く会いてぇ」
無意識に漏れたその声は、誰にも聞かれることはなかった。
to be continued...
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