さっきまでのドキドキのせいで、まだほんのり顔が赤いスズ。

気になる女子の思っていた以上の反応を見れて、どこか嬉しそうな表情の皇后崎。

そしてまさかの宣戦布告に動揺し、モヤモヤしている一ノ瀬。

そんな3人が戻って来たのを機に、無陀野組は鬼ヶ島へと戻るべく動き出した。





第37話 再びのために





生徒たちの着替えが終わり、一行はいよいよ練馬を出発する。


「お前らもう帰るんだろ?せーせーすんな」

「…」

「人目がつかないルートの入口まで案内します」

「ありがとう」

「チャラ先、京都に戻るん?」

「んーん、戻らない」

「え?じゃあどこ行くの?」

「俺、今日から羅刹学園の保険医になったから。よろしくー」

「え!?」「本当ですか!?」

「うん!…喜んでくれる?」

「もちろんです!心強いです…!」


少し不安そうな表情でスズの顔を覗き込んだ花魁坂だったが、その心配は無用であった。

返ってきた答えも表情も、彼が望んでいた以上のもので…!

目をキラキラさせながら見上げてくるスズを抱き寄せないよう、花魁坂はまた手に力を込めるのだった。


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並木度の案内のもと、地下通路を通り、とある公園へと出てきた一行。

制服姿になった一ノ瀬は歩きながら、無陀野組に急遽加入した保険医へ声をかける。


「まさかチャラ先が学校の先生になるとはなー。生徒に手ぇだしそーだな」

「もう〜四季はそういう変なこと言う〜」

「イケないことこそ燃えるよねー」

「京夜先生も乗っからない!」

「は〜い(…本当に手出せたら、どんだけいいかな)」


前を行くスズを見つめながら、花魁坂は悲しそうに微笑む。

一緒にいる時間は、今までよりも確実に増える。それに伴って彼女への想いも強くなるだろう。

でも距離感はきっとこのまま…

そんなことを考えていた花魁坂の足はいつの間にか止まり、他のメンバーと距離があいてしまっていた。

それに誰よりも早く気づいてくれるのは…


「京夜先生!早く早く!」


全開の笑顔でこちらへ手を振る、大切で大好きな愛弟子だった。

明るい声で返事をしてから、スズの元へ駆け寄る花魁坂。

横に並んで歩き出せば、彼にはいつもの笑顔が戻っていた。


「着きました。ここから下へ行けば、人目にふれずに行けます」

「これで練馬とおさらばだな。じゃーねー!」

「人の足吹っ飛ばして、よく笑顔で帰れんな。二度と来んな」

「この人ずっとネチネチ言うだろうけど、また来てね。それじゃあ、必ずまた生きて会いましょう」


そう言って地下へ降りるための扉を引き上げた並木度だったが、そのタイミングで不意に無陀野と淀川の表情が変わった。

すぐさまスズを隠すように立ち位置を変え、警戒を強める大人組。

一同が目を向ける先には、桃機関の桃寺神門が立っていた。



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