Chapter2


なんだ、矢内はこいつら世話するために買ったんじゃなかったのか。
飼えないって分かってたんだな、やっぱり大人だなって俺は矢内を誉めるべきなのだろうか。
矢内は目に涙をためたまま、律儀に俺の返事を待ってて。

だけど、俺は――

流石の俺でも、軽い呼吸困難みたいになってしまった。
困った息が出来ない。何、この部屋、酸素残量いきなり零になったの?
息もうまくできないくせに、思考だけは冷静なまま続いた。
完璧に止まってしまったこの部屋の中で、小さな二羽の命だけがぴよぴよ鳴いて煩い。
お前等殺されかけたの分かってんのかよとひよこ相手にブチ切れそうになる。
どうしようもなくなった、重苦しい沈黙だけが詰まった部屋の中で、矢内が声を出した。
「――恐山」

止めろよ。

「どした? いつもみたいに、わたしを怒鳴ってくれないのか」

止めてくれ、その笑顔。壊れそうで怖いんだよ。今怒鳴ったから、どうなるって言うんだ。
お前が壊れて――俺も壊れて、それで終わりだろ?




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