01

可愛い嫁




──そんな理緒とのくだらない言い合いをしていると、突然テーブルに置いてあった俺のスマホが軽快なリズムと共に振動して俺は慌てて携帯を手に取り画面を見ると──。

【着信 松木雅明】と表示されていて
理緒の旦那からの電話だった。


「ちょっとわりぃ。」


理緒にそう断りを入れてから俺は通話をタップして電話に出た。


「はい…?」
“あ、爽介…。夜遅くに電話してごめんな。“
「いえ、大丈夫です…それよりどうしたんですか?」


雅明さんから俺のスマホに電話が掛かって来るなんて滅多にないことだから理由はなんとなくわかっているんだけど、念のため問い質した。


“あぁ…あのさ、ちょっと聞きたいんだけど……爽介のアパートに理緒が行ってたり…する?“


雅明さんから発せられた言葉はやっぱり俺の予想通りだった。


「はい、来てますよ。」


だからいつものことだけど、雅明さんから電話が来たらこうやって理緒が来ていることは打ち明けるようにしている。

何故なら大体怒って雅明さんから逃げているのは理緒のほうだから。


“あーやっぱりか……。今さ爽介のアパートの近くまで来てるんだよ。悪いんだけど、今から行ってもいいかな?“
「あ、はい、大丈夫ですよ。」
“ありがとう。車停めてすぐに向かうわ!“
「はい…ではまた。」


俺はそう返事をして電話を切った。

すると、そんな俺の電話に黙って聞いていたらしい理緒が慌てたように口を開いた。


「ちょっと!今の電話もしかして…?」
「あぁ。そのもしかして、だよ。」
「嫌よ!私帰らない!」


俺に掛かってきた電話の相手が誰なのかを悟った理緒はそう駄々をね出した。

もちろんそんな理緒には呆れるしかなかった。

だけど、ここに居座れるのも勘弁だから雅明さんが迎えに来てくれることに安堵あんどしていた。


理緒には悪いけれど、雅明さんとのことなんだから自分達で話し合って和解してほしい。


いつまでも弟を頼るなんて…本当に勘弁してほしい。



──そんなことを思考しているとインターホンが部屋中に鳴り響いた。


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