01
見えない気持ち
一ちなみに、"この前の場所" というのは…。
爽ちゃんが私の入学式のときに車で学校の近くまで送ってくれた場所で学校の校門からは少し離れたおしゃれなカフェの前の道路である。
その場所へと近付いた時には見覚えのある車が停めてあるのが見えて車の方へと足を運んだ。
***
車の助手席の窓を覗き込み、運転席にいるのを爽ちゃんだと確認してから私は助手席の扉を開けて車に乗り込んだ。
「爽ちゃん。」
「美亜、おかえり。急にごめんな。」
「ううん、大丈夫だよ。むしろ嬉しい!爽ちゃんと帰れるのが。」
「そうだな。確かに久しぶりだな。」
「あ、でも、私買い物行きたいの。食料品買い足ししたくて…。それに夕飯の準備しなきゃ…。」
「じゃあ今日は食べに行こうか。」
「え?」
爽ちゃんから発せられた言葉に驚いた。
「美亜と外食したことないし。」
「そ、そうだけど…。いいの?」
「そのほうがいいだろ。時間も時間だし今から夕飯準備してたら遅くなるよ。それにいつまた美亜と外食できるかわからないしな。」
「でも、買い物しなきゃ…。」
「それは食べに行った後に行けばいいだろ。…何、美亜は俺と外食行きたくないの?」
「そんなことないよ!そんなことないけど……爽ちゃん疲れてないかなって。」
爽ちゃんの仕事に関して私はよくわからないけれど、数分前の電話で "営業に出てた。" って言っていたから私は爽ちゃんの体が心配になったんだ。
だけど、爽ちゃんは──。
「俺は大丈夫だよ。寧ろ美亜にはいつも家事任せっきりだしたまには息抜きも必要だろ。」
「爽ちゃん、ありがとう。」
「じゃあ食べに行くか。」
「うん!」
爽ちゃんは私の返事のすぐ後に車を発進させた。
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