01

見えない気持ち




*******


車が発進されてから数分後──。
何処かのお店の駐車場に着いて爽ちゃんは車を空いてる駐車スペースに停車させた。

爽ちゃんと共に車を降り建物のほうを確認すると、私が思っていたよりもお洒落なレストランって感じのお店で驚愕きょうがくしてしまった。


「爽ちゃん、ここって…。」
「前に営業の接待で来たことあって料理も美味しかったんだ。…でも、"もう来ることないだろうなぁ。" って思ってたけど、美亜と外食しようって提案した時にふと思い出したんだ。」
「そうなんだ。でも、ここ高そうだけど…。」
「まあファミレスに比べたら値段は張るけど、美亜はそんなこと気にしなくていいよ。」
「でも…。」


ファミレスよりも値段が高そうなお店に躊躇ちゅうちょしてしまった。

外食が "初めて" ってわけではないけれど、私はファミレスでも充分だと思っていたから。

けれど、爽ちゃんはファミレスじゃないお洒落なレストランに連れて来てくれた。

それがなんだか気を遣わせてしまったような感覚におちいってしまって "爽ちゃんに申し訳ない"…とまで思ってしまったんだ。


「美亜、もしかして遠慮してんの?」
「…だって…。まさかこんなお洒落なとこに連れて来てくれるなんて思ってなかったんだもん。」
「……美亜。」
「なに?」
「…俺達もう "幼馴染み" じゃないんだから遠慮なんていらない。それに美亜と初めての外食なんだからファミレスなんて物足りないだろ。」
「…爽ちゃん……。ありがとう。」
「…わかったら入るぞ。」
「うん!」

爽ちゃんは私を喜ばす天才だと思う。

ファミレスでも充分って思ってたけれど、爽ちゃんなりに色々考えてくれてるんだと思うと嬉しくなった。


「…爽ちゃん、大好き!」
「…はいはい。わかったからここでは控えような。」


お店に入店する直前で爽ちゃんに抱きつきながらの私の告白に爽ちゃんはいつもどおりの対応だったけれど、私はそれがなによりも "幸せ" だと思う瞬間だった。


























そう、この時までは────。

爽ちゃんからは "好き" もなにも言われていないことに不安になるのは───。

数日後───だなんて……この時の私は思ってもみなかったんだ───。


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