01
見えない気持ち
一「電話は?」
「…してない。」
「なんで?」
「…声聞いちゃったら…。寂しいとか…会いたいとか…
「あーなるほどね。確かにそれはわからないでもないかも。」
奈美ちゃんはそう言うと、それ以上は何も言わなかった。
爽ちゃんの出張の間はメッセージのやり取りだけにして電話を掛けるのは我慢しようと決めていた。
だから電話をしてしまったら私の我慢は一気に崩れ落ちてしまうと思う。
「…我慢するのもいいけど、溜め込めすぎないようにね。美亜は溜め込みすぎて後に爆発しちゃうとこあるし。」
「…うん、気を付けるよ。」
奈美ちゃんは本当に私のことを理解してくれてるなと改めて感心してしまった。
本当に何度奈美ちゃんに助けてもらったことだろ。
特に爽ちゃんのことにはいつも助けてもらっている気がする。
「それよりもうすぐ文化祭だね!」
「…あ、忘れてた!」
「え?うそでしょ。もう後2週間なのに。」
「爽ちゃんがいないことに頭いっぱいで忘れてた。」
「なんだそれ。あ、そういえば文化祭のこと爽介さんに伝えた?」
「あ、まだ伝えてない。今、メッセージしておこう。」
私はそう言いながらスマホを取り出して爽ちゃんに文化祭のことを伝えた。
文化祭には生徒でない部外者、家族や友人…恋人などを招待許可ということになっている。
だから私は爽ちゃんを招待しようと思っていたのだ。
「まだ伝えてなかったの?」
「出張行く前も爽ちゃん忙しそうで…伝えるタイミング逃したまま出張行っちゃったから。」
「なるほど。爽介さん、文化祭来てくれるといいね。」
「うん!」
奈美ちゃんがそう言うのにはある理由がある。
爽ちゃんとは歳も離れているせいか…一度も学校での行事というものに一緒に参加したことがない。
その事を奈美ちゃんも理解してくれているし高校生になってからも爽ちゃんと結婚したことで『文化祭には絶対爽ちゃんを呼ぶ!』と、私が奈美ちゃんの耳にタコができるんじゃないかってくらいに聞かせていた。
だからもし爽ちゃんが文化祭に来れるのであれば…私と爽ちゃんの文化祭デートに協力してくれると思う。
そして、私が爽ちゃんにメッセージを送って時間的には3分ほどで私のスマホがSNSメッセージの通知をお知らせした。
「…あ、爽ちゃん来てくれるって。」
「本当?よかったね。」
爽ちゃんからの返事には…。
【その日なら休みだから文化祭行くよ。】
という内容だった。
私の夢の2つ目でもあった──爽ちゃんとの文化祭デートが叶うことに今から私は文化祭当日が楽しみで仕方なかった。
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