路地裏と秘密結社




『まずこの忍術学園には
い組、ろ組、は組以外に
"に組、ち組、り組"の
裏に三つクラスが設置されています』


黒板に白いチョークでかいていく都佑に
サラサラと何時来たのか分からない葵が
黒板の事を書いている

竹谷がよくよく辺りを見渡すと
竹谷の委員会の後輩である初島孫次郎を始め
川西左近、三半田数馬、平滝夜叉丸が居た
そしてくノ一のしおりと学級委員会委員長のトモミちゃんが居た


『各組に必ず1人は居ると思って下さい。
一年生は別で教えますが、大体三年生から上は
各クラスに1人は居ます。
因みに、い組は"り組"が、ろ組は"ち組"が
は組は"に組"が居ます。此処までは良いですか?』

八左「ちょ、ちょっと待ってくれ!
その組は一体何のための奴だ?というか
お前ろ組じゃなかったのか?」

三郎「八左ヱ門、都佑の話をかみ砕いて言ってやる。
い組の中にり組が私達のクラスではろ組として
居るには居るが、ち組に入らなければいけない理由があり
まぁ木を隠すなら森の中と行った処だろう」

それに頷く都佑に三郎はご満悦の様だ
人数がそれなりに揃った処で都佑がでは、と声をあげる


『何故このクラスがあるのか。
それは各クラスの子で誰が裏の顔を持っているか。
まぁ忍びらしい子が入れる怖いクラスと言ってもいいんですが』

仙蔵「そう脅かしてやるでない。
岡本そういうお前が一番怖いクラスではないか」

兵助「立花先輩、どうして都佑が居る"ち組"が怖いんですか?」


兵助が仙蔵の方を向いて手を少し上げてきいてきた
それに都佑は仙蔵の方に頷き解説の時間を与える


仙蔵「それは"ち組"が忍や人間の中で一番怖いクラスだからだ。
いいか?人間は何故恐怖を覚える」

兵助「ええと、怖いと思ったから、ですか?」

仙蔵「嗚呼、確かに怖いと思ったら恐怖を覚える。
では何故岡本の様な八方美人の人間が"ち組"に居ると思う?」

三郎「・・まさか、あえて八方美人"と思わせている"?」


正解

そう言ったのは秋月葵だった



葵「都佑は私"に組"で鍛えた変装と都佑自身が望んだ
変装で全生徒に"八方美人の岡本都佑"という存在を叩き込んだ。
それは都佑を守る為であり、私達を守る為であるものだ」



『い組は立花仙蔵先輩を見る通り
成績が優秀な者が多く居られる。

同様にろ組は七松先輩や竹谷等
体力に自信がある人間が多いのは必然だ。

は組は今回の一年生を観れば分かる通り
忍に必要な実践が得意とされているクラスだ』


ドンドンいくぞーそう言って都佑はペラペラと喋る


『その中でも一番敵に回してはいけないのが
り組だ。

こいつは筆記・体力・精神力
共に全ての教育が一年から
出来上がっている者のみ入れるクラスで
大体二年に1人しかいない
理(ことわり)を重んじる人間が多いな。

今居るので分かるのは
黒木、お前と平と辻先輩
この三名だ。』


辻「ええーやぐさんって呼んでよー都佑ー!」

『公私混同はしません。次いきまーす』

辻「無視られた泣きたい仙蔵」

仙蔵「ええい!男がメソメソ泣くな!!」


そうニコニコしながらも嫌そうな顔をして
腕を放す仙蔵にケチと言っている八雲

それに都佑は鼻で溜息をついて話を進める



『先に"に組"の話をするぞ。
"に組"は、は組の裏の成績優秀者だ。
黒木は此処に入るんだが、完璧すぎる為に
"り組"の方に入れられた。

因みに変装が得意中の得意の人間がおり
本来ならば、鉢屋。お前は"り組"の
裏・学級委員会委員長だったんだが
何故か却下された。』


三郎「は?そんな事あったのか」

そうおどける鉢屋に食満は「学園長に呼び出しされなかったか?」
と聞いてみるとどうやらあったらしい。
首を傾げた後閃いた顔で「あの時か!」と言っていた


それに都佑はまた息を吐いた
あおちゃんに癖と言われてふて腐れそうになる私の気持ちを
汲んでほしいものだ。


『そして、最後立花先輩が恐ろしいと言ったのが
"ち組"これはろ組の中でも特に成績が優秀と行かなくても
入れてしまう、だが恐ろしい人間が入ってしまうのだ。

因みに一年で言えばそうだな、きり丸辺りが入る予定だったが
恐ろしい程の成績の悪さに土井先生が却下されている。』

まぁあの子なら乗り越えられるだろうし。
人の得が良いので大丈夫だろう

そう言った私にイマイチ分からなかった人間が多数いたので
もっとかみ砕いて言うと、と仙蔵が言い出した



仙蔵「ち組、その名の通り
"血"を好んでしまうある意味
成績の優秀な人間だ。
心を病むものが良くあがってしまう
中でも一番厄介な人間とされている」

兵助「心を、」

八左「病む?病気?」


『うーん、あれ?
やぐさん、そう言えば私だけですっけ?
"ち組"って』

八雲「嗚呼、お前だけだぞ」

『やーん。私の素顔晒さないでーって素顔ですらないか』

三郎「おい、都佑どういう事だ?」


そう三郎がイライラしたような眼で訴えて来る
「何故隠していた」「どうしてそんな事を言ってこなかった」
そんな色をしていて都佑は少し悲しくなった

『委員長代理は一年間委員長になる為に
私達の裏の活動や私みたいな"ち組"に居るものを
支えてもらう事になっている。

それで三名が入って来たわけだ。
君らはいろは、だけでなく
にちり組を新たに覚えてもらうし
委員会には裏の委員会を覚えてもらう。

久々知と竹谷は立花先輩と善法寺先輩に
それぞれ当たってくれ。

各委員会の人間はこれから
軽くこの校舎で委員会を行う
以上解散お疲れ様でした』



そうサラサラと時間は過ぎてもうおしまい
そのまま了解と言わずに何人かが出ていく
勿論七松達も例外ではなく、三郎は1人
庄左エ門と首を軽く傾げていた





『三郎、庄左エ門。君らはこっちだよおいで』

そう言われて2人は後を付いて行った













































































庄「あの、岡本先輩」

『嗚呼、都佑先輩の方でいいよ。もう慣れた』

庄「はい。では都佑先輩。"八方美人"をするのは
僕ら・・いえ、乱太郎達表の人間の為とおっしゃいましたが
それは彼らに全てを見せない変装だったのですね?」

『そうだよ。流石一年は組の頭脳だね。
噂はかねがね聞いているよ。庄ちゃん』


そう言って都佑は足を止めて此処だよと眼で合図をする
扉を横に開くと中は案外綺麗になっていて
ただ薄黒く床や壁の色が変色していただけだった


『お菓子は煎餅でいいかい?ザラメで申し訳ない』

お茶もないけどお水をどうぞ
そう言って何処から出したのか
三人分の煎餅と水を出した都佑に
どうも、と三郎と庄左エ門は礼を言った


三郎「ってそんなんじゃなくて、おい都佑
どうして今迄相談してくれなかったんだ!」

『三郎、君が友人になった暁に言っておこう。
私は基本人に相談をしない。何故か
私の必要としている答えが既に私の中にあり
だがそれを答えてくれる人間が居ないと知っているからだ』

それに三郎は特に驚く事はしなかったが
眼は開いていた。恐らく「そんな事ありえない」
と思っているのだろうが、ありえるんだ。なこれが


庄「言葉を挟むのはいけませんが、
都佑先輩は人に不満を零して
楽になると言う事はなさらないのですか?」


『ないね』

三郎「即答かよ・・・」

『だって必要ないから。何故か?
まず君らがその不安を抱えてしまう。
それは私の中で君らに"迷惑"をかけてしまう行為だからだ。

私は基本人に干渉しない。
それは人に迷惑をかけない為だ。

人に相談をしたり、
人に自分の気持ちを押し付けたり
それらは全て迷惑だから。

だから私は誰にも自分の気持ちを言わないし
言う時は大抵辻先輩や同室のあおちゃんが聞いてくる』


そうペラペラと喋った後に煎餅を食べて
ボリボリと音を立てる
うん、今日も美味しい

そう想いながらキョロキョロ辺りを見る
不安なのだ。率直に感じた事を話すのは。
中々ない事の方に入ったものなので、ね?

三郎「と言う事は都佑は誰かに相談しても自分はスッキリしないから
誰にも相談しないし、誰にも自分を出さなかったって事か!?
なんだよ、そんなの・・そんなまるで」


まるで自分を殺している様なモノじゃないか


それにハッとした三郎の前には寂しそうに笑う都佑が居た
都佑の眼は悲しみを帯びていてそれに申し訳なくなる三郎
直ぐに都佑は口を開いた


『やっぱり君もそうじゃないか』

三郎「・・・え?」


手を広げてまた顔に手を伏せてその眼を閉じて
また眼を開けた
そこでは悲しみを帯びた眼はしていなくて
気のせいかと思った位少し元気な眼をしていた


『私は自分を殺さないと生きていけないんだ。
"ち組"の一人だからね。私はとある大きな罪を持っている。
それは君らに話す時が来れば話すし、なければ墓まで持っていく。
友人にそうホイホイ話す内容ではないからね。』


それに私の相談や悩みは九割がソレで出来ている。



だから誰にも相談なんか出来ないし
させる事なんてする事もない

だってこれは永遠に背負わなければならないものだからだ



庄「其処まで背負って大丈夫なんですか?」

『寧ろ此処まで来たら無くなった後には虚無感しかないよ。
きっと嫌なんだろうね、この私から次の私に変わるのが。』

三郎「なぁ、都佑」


なんだい、三郎

そうどこぞの変装されている子の様に問うてみる
すると三郎は少し俯きながらも都佑をあやす様に言う
その手には水が入ってる竹を持っている
何処か震えていた。恐らく怖いのだろう。否定されるのが。


嗚呼、似ている

三郎、君だから相談出来ないんだ

似ている者は共感して移してしまう

それが酷く不安でどれだけ怖いか

君は知らないんだ


僕の苦しみを知るのは僕だけでいい

それを願ってやまない私は"良い子"だろう?




三郎「私は構わない。
都佑が幾らその"罪"を悩んで
私に何度言っても心が晴れなくても
何度でも聞いてやるし何度も答えを
お前が欲しい答えを導き出して繰り返してやる。

だからやる前から諦めちゃ駄目だろ?
この学園に来たときからこの学園の人も
同じだと思ったんだろう?違うぞ、それは違う。

私達は忍になるものだ。
私達にも相談してみてくれ。
オナジだったらすまない。
だがやって見ないとわからないだろう?」


なぁ都佑

その傷を舐めさせておくれ

その痛みを分かち合わせておくれ

友であると言ってくれるんだ

それなら私も雷蔵達と同じ様に都佑を接する

不安なら抱きしめてもあげよう

君が安心するクラスを作ってあげよう

それが学級委員会委員長代理の務めだろう?



2人の気持ちは何処に向かうか

それは誰も解らない

だが都佑は1人思った





















甘い罪で縛り続けて欲しいと



(君らが一番好きだから私は遠ざかったのに)
(大丈夫だよそれでも受け止めてあげる)
(君らにそう言われたら私は壊れてしまうのに)
(大丈夫、怖くないよ)
(どうしてそんなにも優しくしてくれるんだい?)


僕はこんなにも君らに大きな嘘をついているのに




前ページ - return - 次ページ













/utakata3/novel/28/?index=1泡沫の白昼夢