降りすぎた雨
尾浜side
鉢屋「おい、勘右衛門行くぞ」
勘「え!?ちょ、何の話!?」
そう手を取った鉢屋に俺は何の話か訳分からずに
手を取られて驚いている
あれ?俺これもしかして
引きずられてでも連れて行かれるつもり?
三郎「そのつもりだ」
雷蔵「ちょっとまってよ!三郎、八左ヱ門達は先生方に・・」
三郎「それができねえから今から行くんだろ!!」
嗚呼、そうか
こいつも怖かったんだ
あいつが自然と溶け込んでいた時間が無くなるその日が来るのを
俺はすぐに準備しようと言って取り掛かる
え?何をするかって?
「勿論、都佑と八左ヱ門を助けにいくんだろう?」
三郎「私と勘右衛門は西の方に行く
雷蔵と兵助は東の方へ。
忍が近くに居たらすぐに逃げよう。
相手はかなりのやり手らしい。」
先生方からと上級生の情報をある程度持ってきて
城から抜け出した都佑と八左ヱ門の跡が残って良そうな場所を探しながら走る
ふと雷蔵が待って!と言って止める
止まった場所は
兵助「木?」
雷蔵「うん。前に都佑が言っていた話なんだけど・・・」
回想
『雷蔵、流石にこれ私が迷子になるので
ここで雷蔵だけに私直伝の迷子にならない方法を教えてあげよう』
雷蔵「直伝の迷子にならない方法?」
『うん。クマとかさ爪痕残したりするじゃない?
私は基本左側に三本自分の身長の処辺りに傷を付けるんだ
クマもそれなりに身長でかいし、カモフラージュ』
しかしこれはクマが出そうな森の中の森でしなければならない
そう言って都佑はガリガリと音を立てて何処からか
寸鉄と棒手裏剣と苦無を取り出して傷を作る
雷蔵「へぇ、でもコレ分かる人には分かるよね?」
『うん。でもいいの。大体私がこれするっていうのは
大体切羽詰まった時しかしないから』
雷蔵「え?まって今切羽詰まってるの!?」
『そりゃそうだよ?!この森私の嫌いな
蜘蛛がいるんだってばよ?!しかも相手
あの鉢屋と竹谷だよ?!はちはちコンビやぞ!?
冷静になれるわけがないでごわす』
雷蔵「まって色々と突っ込みが追いつかない」
『まぁこれを見たらまずヤバイのが
冷静さをかいている事だよね。
大体何かに囚われている時にしかしないから
宜しくねーもしも何かがあった時に』
君が俺を見つけてくれるんだろ?
そう言って彼はその後綺麗にフラグを持っていき
蜘蛛に懐かれ?八左ヱ門とてんやわんやして
下から数えた方が早い成績になって後で
土下座しながら謝られたんだよね
回想終了
三郎「そんな事あったのか」
雷蔵「うん、しかもこの傷まだ二日しか経って無さそうだよ」
兵助「と言う事は木の左部分を観ればいいんだな?」
よく見ると小熊というよりはただ身長が足りない都佑が
ガリガリと爪痕を作っただけだ
それを見て雷蔵は頷き二手で別れるのはまた後だ
と三郎に言われてそのまま走っていく事数分
八左「っ!?誰だ!!・・・ってお前は!
兵助!?雷蔵!?」
勘「俺と三郎も忘れんなよ?ってお前・・・」
兵助「八左ヱ門、怪我見せろ。応急処置をしておくぞ」
八左「あ、嗚呼。助かる
・・ってそれどころじゃねぇ!!
頼む、お前ら。都佑が、都佑が!!」
三郎「落ち着け八左ヱ門!簡単に説明してくれ」
そうして俺らはこの二日間の話を聞いたんだ
勘「都佑が、そんな笑顔を?」
八左「嗚呼、ちょっと聞いた感じだと昔の、
ご両親に似ているんだと。それで謝ってた。」
雷蔵「でもこの先って確か崖になっていたんじゃ」
勘「三郎!!」
三郎「兵助!雷蔵!八左ヱ門を頼んだ!!」
ああもう!どうしてこの学級委員会委員長代理って人は焦りやすいのかな!!
そんな事言っている俺だってもう既に足が動いていたんだけどね?
有り得ない速さで都佑の元に追いかける
どうやら本当に先は崖になっており
そこで一戦やりあったようだ。足跡が残っている
霧雨が降り出した
まずい、もしもこの崖の下に落ちたんだったら・・
最悪の状況が脳裏を過ぎる
駄目だ駄目だ!そんな事俺が許さないからな!?
三郎「・・勘右衛門、降りるぞ」
勘「え?でも此処断崖絶壁・・」
三郎「木に縄縛っておりんだよ」
嗚呼、その手があった!!
その後俺と三郎が持ってきていた縄を繋ぎ合わせて
長い縄を作りそのまま三郎、俺の順で降りる事になった
数分して降りた場所は深い滝のような場所だった
辺りは暗いわ水しぶき&霧雨でさらに視界が悪かった
だけど其処に人が居るか居ないかを見極める事位は余裕で
勘「三郎!!こっちだ!おい都佑!しっかりしろ!!」
三郎「都佑!!くそっ、体温が低い!」
崖から落ち深い滝の下で
一応一命を取り留めていたが
都佑の体温は落ちるばかり
低体温症の都佑に俺は一か八かと半裸になる
それに三郎は何をしていると止める
勘「このままじゃ都佑が死んじまうだろ!?
体温が少しでも戻る為に抱きしめる」
三郎「いやまだだ、近くに洞窟がある
滝の真後ろに移動するぞ」
そう言った三郎の後を追う様に
軽い都佑を姫抱きして小走りで向かう
三郎「傷が無いかも確かめるぞ。
都佑、上脱がすぞ」
三郎は勘右衛門が抱きしめている中
肌で温めている処器用に服を脱がして
自分の頭巾で傷になっている処を拭いてあげる
勘「・・・え?」
三郎「なぁ、都佑って男、だったよな?」
はぁはぁと項垂れる都佑の胸の周りには
いつの間にかサラシが巻いていた
少しふくよかになって来ていた胸に
俺と三郎は動揺が隠しきれてなかった
『う・・ああ』
勘「ってそれどころじゃない!
都佑が女だろうが男だろうが
今は生死が危ういんだ!三郎!!」
三郎「嗚呼!そのまま抱きしめておけよ!!
私は替えの水と近くにある薬草を取ってくる!!」
流石に酷い傷の量に薬草が足りないのを察した三郎は
急いで水と薬草を取りに行ってくる
うわ言のように都佑が『おかあさん』と呼んでいる
宙に手が伸びるそれに俺が優しく手を取る
小さな手に少し柔らかい身体
どう考えても女にしか見えなくて
ちょっとパニくったけど、直ぐにそんな気持ちが吹き飛ぶ
三郎「戻って来たぞ!」
勘「はっや!?」
三郎「本当に目と鼻の先の場所に薬草が生えていた
しかも種類が豊富で全て熱を引いてくれるものだったぞ」
『ん・・・ま、ま』
勘「都佑・・・」
都佑は一言で言うなら、泣いていた。
苦しそうに痛い筈の傷とは別に無傷である筈の胸に手を置いて
ずっとうわ言の様に『いかないで』と呟く
勘「・・行かないよ。何処にもいかないよ。」
母の手を取ろうと泣きながら笑う
その姿にもういいよ。と尾浜は繰り返す。
痛いのだろう。胸が。心が。
何を抱えているのか分からないけど
とても苦しい事は見てとれた
その時、眼が開いた
勘「気が付い『ドコ?此処どこ?』え?」
眼はとても澄んでいた
と言ったら語弊がでるかもしれないけど
そいつは都佑じゃない気がした
『ココどこ?お母さんは?お父さんは?』
勘「なにい三郎「いないぞ」え?三郎?」
一気に彼・・否、声は彼女の声が通る
洞窟だからか、更に反響音が出る
『お母さんいない?お父さんもいない?』
三郎「嗚呼、此処にはお前と私と勘右衛門しかいない。
戻って来い都佑。戻って来い。頼む」
そう抱き付いた三郎に俺は少し離れる
都佑をちゃんと見て見たかったと言うのもあるけど
何故か都佑が放れてって言っていた気がしたんだ
『私は私だよ?都佑だ・・
けど違うね、御免ね。
戻るね、頑張って殺すね。』
え?今なんていった?
殺す?え?人を殺すのころす??
勘「ちょちょちょちょ
待って待ってまってー!?
ダメ駄目だめ!!」
そういきなり俺が抱き付くと痛い処に当たったのか
痛そうな悲鳴が上がる。ああ、御免って・・・
暫くして大分落ち着いたのか都佑は顔を変えた
と言っても新しい顔ではなく切り傷が無くなるように
マスクを変えただけだった
主人公side
『えーっと、お騒がせしてすいません』
三郎「全く、今迄の事情は大体聞いたぞ。
後今さっきのはうわ言だろう?」
『うっ・・出来れば忘れて欲しいんですが・・・』
ある意味かなしい記憶に手を伸ばした時が迂闊だった
いやいや、洒落にならないから今後こう言う事は
本当に死ぬ前とかじゃない時にしよう。
そうだそうしよう
勘「それは無理かな?だってその
柔らかい身体忘れろっていうのが無理だよね?」
それに私は固まる
うん?柔らかい?君ドコ触ったの??
勘「嗚呼、胸もちょっと触ってみたけどあるんだね」
『・・・雷蔵と兵助に言って三枚おろしにさせてもらおうかな。この狸と狐』
三郎「私もか!?」
勘「元はと言えば三郎が脱がしたんだもんね」
三郎「確かにそうだが意味深の様な事をいうんじゃない!!」
私はため息をついて直ぐに立ち上がろうとする処を
三郎に止められる。なんですか?
『私動けるってばよ』
三郎「動くのは止めておけ。
私か勘右衛門のどちらかにおぶされ。
その傷で歩くのはキツイだろうし、それに」
『私が女だからって甘やかすの?』
我ながら冷えた空気を出すのが上手い
百点与えたい位だよ
『確かに私は女だよ。正真正銘のね?
忍たまに化けて男としてなるべく最初の方から
無い胸に感謝して半裸で生活出来たのは嬉しかった。
てか寧ろ楽しかった。今もしたいけど』
勘「しちゃ駄目だからな!?」
って言われるのがおちだと思いました。
『だからしないってば。多分』
勘「おい!!」
『それはいいけど・・うん、此処で全部を話すのは駄目だ。
感傷に入るのは学園に戻ってから、うん。そうしよう。
じゃあ・・嫌だけど、お言葉に甘えて勘右衛門の背中に乗る』
三郎「何で私じゃないんだ」
『後が怖い。三郎だけに』
勘「嗚呼、日頃の行いが悪いってやつだな?いてっ!」
三郎「私は前を行くからあとついて来いよ」
言われなくても
そう言って勘右衛門がいつも以上に優しく
壊れ物の様に私を抱きしめる
おんぶでもいいんだけど、よくよく考えたら
おんぶになると脇腹に入っている傷が動いちゃう
うーん、姫様だっこは余り好きじゃないんだけど
顔が近くに来るから。いやぁイケメンでにやけるから怖い怖い。
って考えていると何だか眠くなって来た
うーん、懐かしい気持ちに最近なるなぁなんでだ?
雷蔵「三郎!勘ちゃん!都佑は」
『やっぴー雷蔵。私の秘伝"テンパったら
迷子対策小熊変化の術"を見つけてくれたね?』
兵助「あれの何処が小熊変化なのか聞きたい処なのだ」
八左「都佑、良かった・・・」
勘「って言っても八も都佑もかなり危険な状態だからね?
雷蔵と三郎、前と後ろ頼んだよ」
三郎「言われなくとも!都佑は死んでも守る」
雷蔵「了解、三郎変な事叩いている暇あったら前見てね?」
喜んで!と声がちょっと出たのに私は笑ってしまう
それに勘右衛門がちらりとこっちを見た
うひぇ!?イケメン顔がこっちみんな!!心臓死ぬ!!
勘「死なれたら困るなぁ・・でもそれは褒め言葉としてもらうね?」
あ、私これ寝た方がいいかもしれないそうだそうしよう
勘「寝るんだったらちゃんと寝ておきなよ?
後で起こすし、後は俺達に任せてゆっくりおやすみ。」
そう言われてこの後の現実も考えて私はゆっくりと
身体を勘右衛門に渡すのだった
三郎「寝た・・か?」
勘「うん、しかもちゃんとぐっすり。いい寝顔」
八左「お前ら修道の道でも開いたのか?」
三郎「馬鹿左衛門こいつは男と偽っていた女だ」
八左「いい!?ーーっ・・・」
兵助「こら八左ヱ門!そんな大声出そうとするから
傷が開くんだ・・」
雷蔵「そ、それにしても都佑が、女?え?本当?」
勘「マジ。本当。だって都佑胸あるもん。」
見たの?
そんな雰囲気になったけど一応見てない
あ、でも見たのか?わかんないな。
勘「でもさ、都佑が女であろうが男であろうが俺達の仲間になったんだからもういいよね」
雷蔵「そうだね」
ちょっとした都佑の事で微笑む五忍に
都佑は全く耳も貸さずにスヤスヤと
気持ちよく寝ていたのだった
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